粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

ここにもいたか、鳩山ルーピースト

2013-06-29 16:03:03 | プロ市民煽動家

不可解な記事に遭遇した。五十嵐仁法政大学教授が28日にBLOGOSに記事を投稿していた。タイトルは「右傾化、孤立する安部内閣に危惧」であった。しかし、BLOGOS上に29日になってもこのタグは残っているが、そこをクリックすると別のタイトルに微妙に変わっている。「安部内閣で急速に深まった日本の孤立化」となっている。変わったのはタイトルだけではない。最初の記事のうち後半部分が削除されているのだ。残念ながら、自分自身読んでいたものの、削除されると思っていなかったので記事を保存していなかった。

記事は最近、安部内閣の右傾的性格から韓国、米国、中国による日本はずしが深刻になりつつあるというものだが、後半部分で尖閣諸島問題が取り上げられていた。内容は日中間の尖閣棚上げ論という暗黙の合意を日本が一方的に破棄して、日中紛争を引き起こしたというものだ。これは、孫崎享氏のような評論家が主張する論理であり、左翼論壇でよく散見されるもので特別驚くことではない。

ところが、五十嵐氏はさらにこれによって昨年発生した中国国内の反日暴動について言及している。現地の日本のスーパーなどが襲撃を受けて10億円以上の被害を出したといわれる。これに対して五十嵐氏はその損害賠償を当時の東京都知事であった石原慎太郎氏に請求すべきだと書いている。なぜならこの尖閣諸島問題の元凶は石原氏だからという理由だ。

反日暴動の報道を当時多少なりとも見聞きしていれば、これが単純な反日ではないということはわかる。中国国内で深刻化する格差拡大で呻吟する下層部の人々が、反日の名のもとに鬱憤を晴らしたという側面は大きい。さらに、別の背景には長年進められた反日教育の影響が大きいし、普段デモなどできない国柄なのに敢えて政府が煽動した面も強い。五十嵐氏はこうした中国の国内事情を全く無視している。

棚上げ論にしても、そもそも存在自体に疑問が多いし、中国自体が1992年、領海法で尖閣諸島が自国の領土であるということを明記している。こうした諸々の中国側の挑発的な動向を全く考慮せず、全ての責任を石原慎太郎氏に押し付けることは、全く論拠が薄弱である。

この刺激的な主張は、まさに鳩山元首相の一連の発言に呼応するものだ。いや内容はそれ以上の問題発言だと自分自身感じて、昨夜は憤りを抑えられないまま床に就いた。ところが、今日改めて五十嵐氏の記事をクリックするとタイトルも変わり問題発言も削除されていた。それでも記事自体は安部批判の強いトーンであることには変わりなく、この記事に対しては読者の不支持が6分の5にも及んでいる。

「請求は石原慎太郎氏に」という刺激的な部分の削除は五十嵐氏の希望なのか編集部の判断なのかわからない。ただ、「ここにもいたか、鳩山ルーピースト」、と嘆息しないわけにはいかなかった。

お詫び:当初五十嵐仁氏を中央大学教授と紹介しましたが、正しくは法政大学教授でした。また、日本企業の損害額も「10億円以上」というのが正確(当初「30億円規模」と誤記)でした。大変失礼しました。


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