粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

翁長沖縄県知事の運命

2015-04-04 13:47:00 | 沖縄の虚像と実像

翁長さんこれから大変ですよ、任期を全うできるか、辺野古阻止一遍で当選した知事だが、これで何か変なことになったら知事の4年かは政治的にどうなるのか…

自分の4月2日のブログで中国主導のアジア開発銀行(AIIB)について評論家青山繁晴氏のラジオ番組でのコメントを紹介した。青山氏はこの番組では沖縄辺野古問題の近況(番組の冒頭)についてもコメントしている。明日5日に菅官房長官がこれまで面会を拒否していた翁長沖縄県知事とようやく会談することになった件で、青山氏が独自の見解を述べていた。

朝日新聞などは翁長知事が有利な状況で菅長官と対談することになったとしているが、青山氏は朝日の報道は噴飯ものといわんばかりに全面否定している。実際は翁長知事は裁判を起こしてももはやはや敗北が明らかといえるほどに追い込まれているという。

だから、知事は表面上は辺野古移設反対を相変わらず唱えながら具体的な対抗措置をとっていない、いやとれない状況にある。そして最終的には今後、水面下で政府と妥協の方策を進めていくのではないかというのが青山氏の分析だ。

しかし、これが県民特に知事選で支援をした左派勢力にとっては、公約違反で裏切り行為と見なされるというのが青山氏の見立てのようであり、それが冒頭の感想、危惧となったわけだ。

もともと翁長知事は本気で辺野古移設反対を主張した訳ではない。選挙で勝つための方便として掲げたのに過ぎないと青山氏は手厳しいが、自分もその通りだと思う。それほどに沖縄の言論空間は辺野古移設反対で凝り固まっているので選挙ではこの風潮に乗っかる他はない。

しかし、仲井眞前知事の下、辺野古埋め立て承認をなされ県の役人がその具体化に関わっている以上、新知事がその撤回を実行することは不可能に近い。翁長知事自身は就任当時からそれは十分承知していたはずだ。だから、知事は最初から自分の公約との整合性を失わずに政府との妥協を図ろうとしていた。

ただ、それが政府には虫のよい話だと無視されて対話に応じることはしなかった。政府のつれない態度に工事の一時中止指示という対抗手段をとったが、今回政府に一蹴されて結局さらに追い込まれてしまった。

だから、今度の政府による会談申し入れは、そんな知事にとり「助け舟」であって、藁にもすがる心境だったといえる。青山氏は老練な菅長官にとっては「予定調和」だと見ているが、確かにそんなところだろう。今後も翁長知事が表面上は政府との対決姿勢をとり続けていくだろうが、政府が進める埋め立て工事をなし崩しに認めていくのではないか。

その妥協策が沖縄県政にどのような影響をおよぼすのか。青山氏は翁長知事が任期途中での辞任という可能性も示唆している。具体的には県民が反発するというより支援組織が報復として辞任に追い込むといった方が正確だろう。

はたして、翁長知事にその逆風に耐えて自分の立場を維持する老練さがあるかどうか。いやそんな一政治家の心配よりは、沖縄の政治が特定の政治団体やメディアの影響から脱却して本当の意味での県民本位に戻れるかどうかの方が大事だろう。