朝のバス停。
小雨の中
傘を忘れてコートのフードを被りつつ
バス停の脇でバスを待っていた。
と、おばさんがひとり
あたしの前に割り込むように立ち憚った。
あたしの脇のバス停の時刻票を見ようとしたのだと思って
あたしはずれて場所をあけた。
するとおばさんは
あたしの顔を見つめて「いいの?」と聞いた。
あたしは訳がわからず軽く会釈をした。
おばさんはあたしの後ろに並んだ。
5分経ってから
おばさんがあたしを傘に入れようとしてくれたのがわかった。
他人のあたしを。
あたしはおばさんが時刻票が見れるよにと思ってどいた。
フードを被っていて視覚が遮られていたから気付かなかった。
おばさんはあたしがどいたことで傘には入らなくていいのだと思った。
おばさんの暖かい気持ちを無にしてしまったこと、
5分経ってしまってお礼を言うタイミングを逃してしまったこと、
世知辛い世の中にも心にこんな余裕があるひとがいるのだということ、
雨の憂鬱を蹴散らした朝のひとこま。
小雨の中
傘を忘れてコートのフードを被りつつ
バス停の脇でバスを待っていた。
と、おばさんがひとり
あたしの前に割り込むように立ち憚った。
あたしの脇のバス停の時刻票を見ようとしたのだと思って
あたしはずれて場所をあけた。
するとおばさんは
あたしの顔を見つめて「いいの?」と聞いた。
あたしは訳がわからず軽く会釈をした。
おばさんはあたしの後ろに並んだ。
5分経ってから
おばさんがあたしを傘に入れようとしてくれたのがわかった。
他人のあたしを。
あたしはおばさんが時刻票が見れるよにと思ってどいた。
フードを被っていて視覚が遮られていたから気付かなかった。
おばさんはあたしがどいたことで傘には入らなくていいのだと思った。
おばさんの暖かい気持ちを無にしてしまったこと、
5分経ってしまってお礼を言うタイミングを逃してしまったこと、
世知辛い世の中にも心にこんな余裕があるひとがいるのだということ、
雨の憂鬱を蹴散らした朝のひとこま。