旅する小林亜星

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美しい男

2004-09-27 21:27:55 | アパート
それはそれは美しい男に抱かれた。
いや、抱かれたのではなく抱いたのだ。

その、美しい男は贅沢な肢体を
贅沢にベッドに横たわらせ、
あたしの身体にゆっくりと優しく触れる。

ドリアンのよな至福の時間、
長さも太さも持て余した
使い慣れた、それであたしの中にそろそろと入る。

アクロバティックな絶叫が
愛の練乳を搾り出す。

そして
その、美しい男は先に眠りに落ちた。

チョコレートでできた唇
こけた頬
縦長のへそ
毛のほとんどないスネ

寝顔でさえも
あまりに美しい。

田山花袋のよに
彼が残していった煙草の残り香に
顔をうずめて
あたしは寂しさに震える。
コメント (5)
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