(ネパール紙)
木簡には、あらゆる生身の人生が散りばめられている。
木簡は当時の文化を知る貴重な文化財でもあり、
書を学ぶ人にとっては、書法を学ぶ手本でもある。
でも私にとってはそれだけではなく、太古の昔も同じように生きた人々との
出会いの場でもあり、人生の学びの場でもあり
そこには会ったこともない人々の悦び、ひたむきさ、明るさ、生き生きとした生命力、儚さ、
たくましさ、切なさや、激しさ、愛嬌、洒落っ気、生真面目さ・・が見えてくる
書き手の人柄や、文字の発する個性を感じることにワクワクして、ロマンを感じる
←この中の「漢遂」
木簡の本を捲っていて、むむっ~ と目がハートになった文字「漢遂」。
「漢」の字の、ツクリに背を向けて冷めた表情のサンズイに対して、ツクリの点点・・の
すっとぼけて小走りしているような表情が、なんとも言えず好き。
「遂」の字は、原本は正直者で曲がったことが嫌いって感じだけど、私のはちょっと
背中を丸めて逃げ腰。
だって、「漢」が小走りでうっしっし~って言いながら、追いかけてくるから
・・・なんて、勝手にドラマを作って臨書してるわけです。
原本の個性に、自分が感じたものをプラスして、形として表現していく中で
何となく思ったようにできたとき、それはもう、一人ニマニマの世界です。