<Ⅿ氏の解(13)。仮想的全能感から最も縁遠い、健全な『自信のなさ』>
日本の若者について言えることは、世界中、ありとあらゆる国の中で、自分の能力に対する不安、自信のなさで突出しているということであります。
河地和子は、『自信力はどう育つか』(2003年)は、様々なデータを駆使して、日本の子どもたちの自信のなさを浮き彫りにしています。
調査対象は、東京、ストックホルム、ニューヨーク、北京の4都市に住む、中学3年生約4000人であります。
この結果、『自信度』については、日本150、スウェーデン250、アメリカ240、中国245であり、『能動的』については、日本の27%、スウェーデン41%、アメリカ44%、中国22%となっています。
これを見ると、日本の子どもたちは、他の3カ国に比べると、「自信がなく。」、「不安な。」毎日を送っていることが分かります。
だが、能動的性格のところの項目で、日本以外では、3カ国とも『自分は頭がよい』と答えた子どものほうが『良い成績をとっている』という数字より多いのに、日本だけは、『良い成績をとっている』(22%)のほうが、『自分は頭がよい』(17%)と答えたより多いのは、はっきりした『意味』のある数字でありましょう。
つまり、他の3カ国では、『先生は、自分を正しく評価していない。』とか、『自分は運が悪い。』と思っている子どもが多いわけです。
だが、日本では、『自分は、あまり頭は良くないのに、たまたま成績が良かっただけかもしれない。』と思っている子どもが多いのであります。
さらに、中国の子どもたちの4割が、『自分は頭がよい』(40.1%)と思っているのに、『良い成績をとっている』(20.2%)と思っているのは、その半分しかいないというのは、さぞかし教師の採点法に対する不満が多くて、大変でありましょう。
これも異常だが、アメリカの子どもたちの6割以上が、『自分は頭が良い』(64%)と思っているのは、自信という範疇を越えて、『妄想』の域に達しているのではないだろうか。
アメリカの子どもたちの『自信』と『実績』の間に存在する「病的な。」格差は、昔から大問題になっていました。
例えば、アメリカでは、本人の自己査定では、68%が『自分は数学ができる』(参加国中1位)と言っているが、残念ながら、成績は参加6カ国の「最下位。」でありました。 (日本は、数学ができると思っていたのは21%)
さらに、日本では、『偉くなりたい』と思う子どもたちが、非常に少ないのです。
日本青少年研究所のアンケート調査では、この質問に『強くそう思う』と回答したのは、中国34%、韓国23%、アメリカ22%に対して、日本はわずか『8%』でありました
そして、日本の子どもたちの79%が、『偉くなると、責任が重くなる。』と答えています。 さらに、『暮らしていける収入があれば、のんびり暮らしたい。』という質問への肯定的な答えも、日本は43%でトップでした。
ところで、もう1度、『能動的性格が当てはまる』の項目で、成績が良い時でさえ、『自分の頭が良い』からではなく、「運がよかった。」のだと思いがちな日本の子どもたちが、アメリカの子どもたちと同じくらいの高い比率で、『競争心がある。』と答えているのです。 これは本当に『すごい』ことです。
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