湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

プレバト食卓俳句

2020-09-03 21:35:03 | 文学
今日オンエアのプレバト!!で、またボツになってしまった梅沢永世名人の句。
 野分の夜ほぐす卵ののの形
夏井先生のアドバイスは「卵ののの形」を活かすなら「野分の夜」を「朧夜の」「朝寝して」「桜さく」など別の季語にというもの。
添削は、季語を原句のままにして「卵ののの形」を変えたもの。
 野分の夜ほぐす卵に小さき渦
これぞ匙加減ですね~。
名人10段ひとつ昇格星3つになったのは、フルーツポンチ村上さん。永世名人の座が見えてきてます。
 秋朝やバタにフォークの穴四つ
フォークで刺した痕の穴四つが俳句の種になるんだから、朝食のテーブルでも寝ぼけてボーッとしてちゃいけません。
評価のポイントは「バタ」。「バター」にすると中八になってしまうということがまずありますが、それだけではないんですね。
音を伸ばさず昔風の表記にしたことで風雅さが。似た例では「スープ」と書かず「スウプ」、「スプーン」と伸ばさず「スプン」。
こういう微妙微細な一文字の差が、17音の作品の中では大きな質の違いになるんですね。

才能アリ1位は、3時のヒロイン福田さん。
 傷秋の箸とめぬよう団欒す
心の憂いを箸のような俗な物で表現できていると、高く評価されました。
添削 団欒す傷秋の箸とめぬよう 
箸やフォークという日常の小さな食事道具からだって、いろんな方向に詩情を展開できるんですね。
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欠席投句より

2020-09-02 17:54:56 | 文学

8月の湘南句会、最高得点は欠席者の次の句。
 花野行く転失気(てんしき)一つ空青し
三段切れではあるのですが、転失気(放屁)が開放感たっぷりに意表を突いていて、よかったです。
同じ作者の句で他に点が入ったのは次の2つ。
 陽傾き影長くなり花野を急ぐ
下五字余りが惜しい。陽が傾いたから影が長くなった、夕方になったので帰路を急いだ、という理屈になってしまっている点も惜しいです。
情景としてはとてもよく分かります。
 紅頭静か花野のナンバーワン 
冒頭の「紅頭」がどんな植物なのか分からず、初っ端から鑑賞につまづいてしまう読者も。
作者は吾亦紅(われもこう)のつもりだったそうです。季重なりを避けるために喩えで表現したのでしょう。
破調で、カタカナ語「ナンバーワン」を使ったため軽くなってしまいました。もう少し格調高さや調べのよさが必要です。
いずれも兼題「花野」で詠んだものでした。
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