湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

寄物陳思

2016-03-06 11:04:11 | 
昨日の合評会で下記のTの詩について話し合ったことを投稿します。
哀しいバス停
一日 二本だけ通る路線バス
のいくつかのバス停は不機嫌だ
車から見ていると
ポッケに手を突っ込んでむくれている少年のようだ
十年前は午前に四本 午後に四本あったものが
今 バスは朝と夕だけだ
各所で乗り降りする人達も一人か二人
誰もいない所もあり
子供の姿はない
人が並んでいないバス停は
昼間は住居表示の標識と化している
それなのに なぜかどれも真新しい
新しくなってバス停は気負っていただろうに
すっかり手持ちぶさたで
もはや忘れられた存在になっている
あと何年かしたら
廃線の記念碑になってしまうだろう
車が少し通るだけの道は
風の通り道にもなっていて
バス停はいつもこきざみに揺れている
誰かやってきて と叫んでいる

:作者の弁 :評者の弁
 バスの停留所を擬人化したんですね。
 このバス停を眺めていた時死ぬほど落ち込んでいた自分を投影したんです。
 こういう気持ち、すごくよくわかります。
 不機嫌でむくれていて手持ち無沙汰で、とにかくやるせないのね。でもそういう心情の時に「誰か来て」と叫ぶかなぁ。あとタイトルの「哀しい」がベタな感じ。
 確かに。タイトルは「忘れられたバス停」に変えます。最後の一行は無い方がいいですね。
 「こきざみに揺れている」ところで終われば整合性と余韻を確保できますね。その震えてる感じはいいんだけど、運行本数とか利用者数とかバス停のことだけを細かく長く描くことで、表現としては緩くなってしまっている感じがします。背景の描写があってもよかったのではないでしょうか。
 まわりに何もないバス停だったんです。
 それはかなり孤独な停留所だわ。

次の合評会は4月2日14:00~開催。テーマは「色」「沈黙」。どちらか又は両方をモチーフにした作品を今月末までに提出してください。

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