湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

今月のお題その2 無限

2014-12-07 00:00:51 | オリジナル
前回「流れ」で作りましたが、もうひとつテーマ「無限」でも競作! 命に限りのある人間が考える∞とは…。
まずはTの詩。絵もTの作品です。

 
 一人遊び
 
 少女は影踏み遊びをしなかったので
 自分の影を振り返らずに成長した
 大人になって影を踏まれそうになり
 彼女は自分を巨大化して見せようとした
 影は大きくなり周りの人達を飲み込んだ

 心は柔軟にいくらでも変化できるのに
 嫉妬や憎しみ怒りに囚われてしまうと
 どちらかが消えなければ抜け出せない
 固く強張った心は
 誰にも揉みほぐすことはできない
 自分の影を見つめ その濃さに怯え
 初めて 無限に広く深い心に気付くのだ
 
 その時 影を踏む人はいない

Aの作品も、同時公開。
 夢幻の生

 自分を肯定してくれる人が無限にいて
 そんな人生の時間が無限にあったなら
 今のわたしと正反対の別人になれる
 反論されたら困惑しながら笑って一旦受け入れる
 希望が聞き入れられなくてがっかりすごすご引き下がる
 意に染まぬことを言われても長いものには巻かれるだけ
 話の通じない相手とさり気なく距離を置くが
 偶然たびたび出会ってしまい、つまらない挨拶をする
 そんなわたしはいなくなり
 批判する人がいたら蹴っ飛ばし
 糾弾する人がいたら殴り倒し
 わたしの気が済むまで愚痴や言い訳を聴いて
 あんたは素晴らしいと本心から言ってくれる
 支持者の許に急いで逃げ込む
 素早く闘争と逃走をやってのけるのだ

 都合のいい人だけを周りに集め
 嫌な奴は徹底的に排除して
 毎日褒め合って愉快に暮らす
 眉間に皺を寄せたり
 口をへの字に曲げたり
 泣いたり怒ったり悩んだりしないから
 眉と目尻が下がり口角は上がり
 人相が変わっていく

 そのうち自分に酔いっ放しになり
 意地でもやり遂げたいことがなくなり
 起きている時に傲慢過ぎた代償で
 夢の中で理不尽な目に遭うようになり
 日が暮れるのが苦痛になり
 無限に苦しむようになる
 おかめ顔がいつしか鬼の形相に

 ああ、天国って辛い所なんだろうな
 死んだらおしまい
 それでいい
 分かり合えない家族や他人だらけで
 どうやって理解してもらおうか
 どんな距離で付き合おうか
 いっそのこと縁を切ろうかと
 あれこれ悩みながら
 見果てぬ夢を追いかけて
 死ぬまで生きれば
 それでいい

コメント
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