575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

カラタチ(枳殻)

2008年12月19日 | Weblog
 久し振りに平城京跡に行ってきた。ライトアップされた朱雀門はとても美しかった。2010年は平城遷都1300年にあたり、その年に向けて大極殿が復元されつつあった。    東院庭園も復元されていた。そこは200m×300mあった東宮の住まいのほんの片隅ということで当時の広さは私の手にあまる。水を巧みに使った庭園の生垣にカラタチがつかわれていた。
もう葉はすっかり落ち、鋭い棘がむきだしになっていた。悪がきの中学生だった連れ合いが音楽の時間に白秋の名曲「からたち」を歌う度笑いこけたという「金の玉」なる実は茶色になっている。

 カラタチは中国原産のミカン科カラタチ属の落葉低木で奈良時代に渡来した。渡来したばかりのカラタチ、人々の憧れの的の梅、人工の池、小川、朱の橋などなどここは時代の先端の技術を誇った処だったにちがいない。

 白秋の歌ですっかり馴染んでいるカラタチだが、最近はとんと見かけない。白い花は4月ごろ葉がでる前に咲くのでよく目立ち、香りたかいという。私はまだこの花に会ってはいない。

 カラタチの実は酸味と苦味が強く食べることができない。が、耐寒性があり病害虫にも強いので日本の柑橘類のほとんどがカラタチを台木にしている。

平城のうしろたのめる枳殻かな    太祇
 からたちの実を権者へのつぶてとす  小泉もとじ
 からたちの花摘むように指きりは   坪内稔典
 からたちの落花折檻これでもか    平畑静塔

コメント
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