おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

「A Woman In Berlin」(古きよき映画シリーズ。その30)

2013-04-04 22:15:57 | 素晴らしき映画
 日本では劇場公開されていないようです。そこで、「YouTube」で視聴しました。内容はシリアスで、戦争末期の人間のさがを如実に見せつけられ、考えさせられました。
 DVDでの題名『ベルリン陥落 1945』と中味とはまるで大違いの作品。パッケージもひどすぎ(まるで戦争アクション映画のようになっています。)こういうことってあるのですね。「TSUTAYA」で探してみても(昨日行ったときには見当たらなかったですが)、私ならパッケージからおそらく見過ごしてしまいそうです。(使用した映像は「YouTube」より。)

日本でのDVD版。
国際版。それでも、「WORLD WARⅡENDS,NOW THEIR BATTLE BEGINS」と示されているのが救い。
 第二次世界大戦末期。ソ連軍に占領されたドイツ・ベルリンでの話。取り残された女性達が老いも若きもソ連軍兵士たちによって次々とレイプされる。主人公の女性もその一人。出征した夫との間の二人の子ども抱え、生き抜くためにドイツ軍将校のもとに身を任せる。その将校がシベリヤ送りになる直前、愛を感じるようになっていく。そして、出征していた夫の帰宅。・・・
 2時間以上の大作ですが、戦争というものがもたらす(市井の人々に重くのしかかる)むごたらしさを強く伝える出来る展開になっていて、緊迫感を保ちつつ飽きさせない。登場人物も、分別のありそうな将校。純朴なモンゴル人の青年軍人。

 粗野でたくましい赤軍兵士。愛らしくそれでいて使命感にあふれる若い女性衛生兵。ロシア人らしい風貌の老軍人。

いつも冬のコートを羽織っている(衣料にも食料にも乏しい困窮生活)主人公。

 なかでも、いつもおびえながらひっそりと隠れ住む、それでいてつかの間のひとときを過ごす老若幼のドイツ人など、人間像も豊かに描かれています。しかし、内容は今もなおベールに隠されたソ連赤軍の蛮行を赤裸々にしていきます。

 映画化のもととなったのは、ある女性の手記。その原題は、『Anonyma – Eine Frau in Berlin』(匿名 - あるベルリンの女性)。あるドイツ人女性を中心に、1945年4月(著書の日付は、1945年4月20日より6月22日までとなっている)、ベルリンに侵攻してきたソビエト軍兵士らの強姦および敗残兵狩り、そして、ドイツ人市民とソ連軍兵士の対話を描いています。

 1911年生まれで2001年死去したドイツ人女性のその手記が、1954年にアメリカ合衆国で出版されて、1959年には署名入りで西ドイツで出版されましたが、手記をまとめた女性に対してかなり非難がなされました(事の真偽をも含めて・・・)。それから50年後、彼女の死後、署名を明かさないということで再出版となりました。日本において日本語訳として、白水社から、2008年、『ベルリン終戦日記―ある女性の記録』として出版されています。
 2008年、マックス・フェーベルベック(Max Färberböck)監督により映画化されました。日本では、日本語の字幕がつけられたDVDがリリースされています。今回、「YouTube」で、英語の字幕付きで見ました。

《あらすじ》
ジャーナリストの女主人公は、ロシア語を話すことができた。夫のゲルトはドイツ軍兵士として出征する。1945年4月末、ベルリンに侵攻してきたソビエト軍が、ドイツ軍兵士が抵抗している箇所の制圧に向かう。

ソビエト軍兵士が、主人公のいるアパートに入ってきた。彼らの中には、女性に性暴力をふるう者達もいる。止めさせるともできない住人たち。主人公も、結局、数人にレイプされる。そこで、ソビエト軍将校のひとりアンドレイ少佐に取り入り、自分たち住人(老若)の安全を確保しようとする。
 初老のドイツ人男性を激しく殴打しているソ連軍兵士に対して、アンドレイ少佐は格闘して止めさせるのと同時に、武器を隠し持つ者およびそれをかくまう者を銃殺するということを宣言する。
 1945年5月、ヒトラーが自殺し、ベルリンは降伏した。勝利に酔いしれるソ連兵士たち。ドイツ人たちはそれを、言い知れぬ不安とともに見ていた。アパートの屋根裏に若い娘とドイツの敗残兵の恋人が一緒に隠れている。娘を強姦しようとしたソビエト軍兵士に対して恋人は発砲するが、見つかってしまい、転落死する。アパート住人とソ連軍兵士とのパーティーが開かれるが、しばらくして、ベルリンから「裏切り者」とみなされた少佐はシベリアに送られることになる。別れの夜、少佐を次第に愛し始めていた筆者は、自分から彼を受け入れる。
 夫・ゲルトが帰ってきたとき、主人公は、これまでの日記を彼に見せる。

「恥知らず」と彼女を罵り、出て行く。そして、アンドレイ少佐のシベリアへの出立。

・・・

《キャスト》
主人公の女性 : ニーナ・ホス
ゲルト : アウグスト・ディール
ベルベル : イェルディス・トリーベル
エルケ : ユリアーネ・ケーラー
アンドレイ少佐 : エブゲーニ・スジヒン
アナトール中尉 : ロマン・グリブコフ
 
 ある日、隠れ住むドイツ人の子どもの姿を目撃したた若いソ連兵が、「ドイツ軍が自分の故郷で何をしたのか、ドイツ人たちに話しを聞かせたいので、通訳しろ」と命じられる。それは、故郷で子供たちまでもが、ドイツ兵によって虐殺されたこと。そして、その光景を自分はこの目で見た、と。さらに、彼女の愛人のソ連軍少佐の妻も、ドイツ軍兵士によって縛り首にされて殺されてしまったことを衛生兵から聞かされる。
 その復讐・報復として制圧した無抵抗な敵の婦女子を陵辱していく。特に一般市民を巻き込んでの総力戦の実際。憎悪、ぎらぎらした欲望のままの表情を取り払えば、おそらくは平常な道徳観を持ち合わせているであろう兵士達。戦争・戦場のもたらすおぞましい側面。
 ある日、彼女は、久しぶりに親友の女友達に会う。再会を喜び、次のような会話をする。
 彼女「どれぐらい?暴行された」
 友達「4回よ。あなたは?」
 彼女は何も言わずにニッコリと微笑む。「同じぐらいよ」という意味でしょう。2人は彼女の自宅へ行って、近所の女性たちと共にささやかなパーティを開く。そこでのやりとり。
 親友「ワタシもソ連軍将校の愛人なんだけど、1回目に暴行されていた時は、彼は横で見ていたのよ。他人がナニをしているのを、見ているのが好きなのかもね」
 近所の女性「ロシアの男どもって、そんなにセックスが上手くないわね。あれで、故郷の女性どもは満足しているのかしらね。ワタシたちの騎士(ドイツの男)たちは、シベリアに連行されてしまって、もう使い物にならないわね」
 このような「悲しい(辛い)」ジョークを言って、彼女たちは大笑いをして、ドイツ民謡の歌を歌って、束の間の“平和”を楽しむ。・・・

 エンディングには、この映画の原作本がたどった運命が表示されます。

・・・

主人公の女性 : ニーナ・ホス
 















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