おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

坂本龍一さんを偲ぶ。「戦場のメリークリスマス」。

2023-04-04 20:44:22 | 素晴らしき映画

坂本龍一さんが亡くなった。その追悼の思いを込めて、以前掲載した「戦場のメリークリスマス」を再掲。ここにも書きましたが、坂本龍一の曲が今でも口ずさむことができます。

原題「Merry Christmas Mr.Lawrence」(1983年作)
《スタッフ》
監督 大島渚
音楽 坂本龍一
《キャスト》
ジャック・セリアズ英軍少佐 - デヴィッド・ボウイ
ヨノイ大尉(レバクセンバタ俘虜収容所長) - 坂本龍一
ハラ・ゲンゴ軍曹 - ビートたけし
ジョン・ロレンス英軍中佐 - トム・コンティ
ヒックスリー俘虜長 - ジャック・トンプソン
拘禁所長 - 内田裕也
イトウ憲兵中尉 - 三上寛
カネモト(朝鮮人軍属) - ジョニー大倉

《あらすじ》
 1942年、ジャワ。日本軍捕虜収容所。軍曹ハラは、日本語を操れる英国軍中佐ロレンスを閲兵場に引き連れて行く。そこにはオランダ兵デ・ヨンと朝鮮人軍属カネモトが転がされていた。カネモトはデ・ヨンの独房に忍び込み彼を犯したのだ。そこへ、収容所長ヨノイ大尉が現れ、ハラに後刻の報告を命じ、バビヤダへ向かった。バビヤダでは、英国陸軍セリアズ少佐の軍事法廷が開廷された。銃弾がそれて銃殺刑を逃れたセリアズは浮虜収容所へ送られてきた。・・・
 ある日、ヨノイの稽古場にロレンスが面会に来る。ヨノイは、自分は二・二六事件直前満州に左遷され、決起に参加できず、死に遅れたのだと語り、さらに、カネモトの処刑を命令する。ハラがカネモトの首を切り落とした瞬間、デ・ヨンが舌を噛みきって死ぬ。ヨノイは、収容所の全員に48時間の謹慎と断食を命じる。・・・
 無線機を持ちこんでいたという理由で、ロレンスとセリアズは独房入りとなった。壁越しに話をする戦友の2人。ロレンスは、たった2度しか会わなかった女性の思い出を、セリアズは、内向的だった弟のことを・・・。2人は司令室に連行された。そこには酒で上気したハラがいた。「ファーザル(ファザー)クリスマス」「サンタクロース」・・・。ハラは2人に収容所に帰ってよいと言い渡す。・・・
 ヨノイの命令で、浮虜全員が閲兵場に整列させられ、病棟の浮虜たちをかばうヒックスリを処刑しようとしたとき、セリアズが歩み出て、ヨノイの腕をつかむと、彼の頬に唇を当てた。ヨノイは後ろに崩れ落ちる。・・・

 日本軍人を侮辱した罪で、セリアズは首だけ出して生き埋めにさせられる。ある夜、月光の中からヨノイが現れ、セリアズの金髪を一房切り落とし、立ち去る。

 戦争が終わった。ロレンスは処刑前夜のハラに会いに行く。ハラは「覚悟は出来ている」「他の日本兵と同じことをしただけなのに」とロレンスに語る。ロレンスは「あなたは犠牲者なのだ」という。別れ際、ハラはロレンスをかつての命令調で呼び止め、笑顔で「メリークリスマス、メリークリスマス、ミスター・ロレンス」と。
 
 第二次大戦を扱っていながら戦闘シーンはなく、出演者も回想場面以外は全員男性という異色の作品。
 日本の軍隊の暴力性。それは捕虜収容所ではことさらのこと。常に暴力による服従を強いる世界。そのなかで、日本軍人の「武士道」「死生観」が浮き彫りにされる。英国人などの捕虜達には到底理解できない価値観でもある。
 その中で、ハラとロレンス、ヨノイとジャックという二組の男同士の関係性、その倒錯。支配者、被支配者の関係の中でありながら、男同士の友情(人間同士の心の通い合い)が捕虜収容施設(戦場)という究極状況の中で、奇妙にも形づけられていく。
 映画の中で、セリアズにとっての重要なエピソード(いじめられる弟への屈折した思い)なども映像化されているが、今一つピンと来ない。陰湿ないじめ・暴力など今日的な問題に通じる一面があったのは、先見の明はあるが。 
 今観ても、たけし、坂本。二人の滑舌の悪さには、閉口。ビートたけしはともかく、坂本の演技はどうにも・・・。ただ、青年らしい独特の風貌は、デヴィッド・ボウイの「かっこういい?」容姿と一対をなす雰囲気はあった、と改めて思う。
 結局は、この映画は、何と言っても、坂本音楽のすばらしさ。この音楽なくして、この映画の存在はなかった、と。
若かりし頃のタケシ。


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