おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書「世界をわからないものに育てること」加藤典洋(岩波書店)

2017-01-13 20:14:49 | 読書無限
トランプ氏、語らぬ具体策 雇用創出・国境税掲げるが

 トランプの記者会見の模様を見聞きして、やっと読み始めた本の、今読んでいる冒頭に近い個所に目が止まりました。加藤さんには申し訳ないですが。ウルトラ右翼で、『永遠の0』の作者、百田尚樹がまったく思想的には反対とも言える宮崎さんの『風立ちぬ』に感動した、という発言に触れて、

 「情報化社会の昂進によって・・・自分の考えをもっていること、論理的であること、首尾一貫していることは、かつては好ましくもあれば必要なことでもあったのだが、いつのころからか、融通が利かず、持論にこだわり、偏狭だといったマイナス・イメージをともなうようになった。逆に、この高度情報化社会の進行につれ、あっけらかんとしていること、あっさりしていること、こだわらないこと、少しちゃらんぽらんであるくらいのほうが、ノンシャランで、好ましいことと感じられるようになったのである。」(P34)

 「百田は『風立ちぬ』の作者の『平和主義』に寛大なのではない。ただ、自分のスキゾ型の『感動』に正直なのだ。そして彼が『感動』するのに『イデオロギー』は何であろうと関係がない。『作品』が適切な『イデオロギー』を採用し、『感動』の器として機能していれば、それでよいのだからである。ここでの教訓は、ある意味でちゃらんぽらんな百田のあり方のほうが、いまの社会にはよりフィットしている、ということである。没価値的に両者の反応をみれば、後者のほうに(注:百田のほう)に『好感がもてる』ということは、そういうことなのだ。」(P35)

 トランプの発言に対してアメリカのメディアの多くは、激しい拒絶反応を示しています(日本のマスコミも)。しかし、そうしたこれまでの国民世論を導くといったような高みからの姿勢にアメリカ合衆国の人々は共感するのではなく、それらをぼろくそにののしり、自分に不都合な事柄に対してはちゃらんぽらんな受け答えに終始するトランプに快哉を送る。ここに、アメリカ社会の現実が見えてきます。

 トランプは、強気な発言を繰り返し、己の志操堅固なことを誇示しているように見えますが、たぶん、かなりの小心者で、無定見な男のようです。
 フィリピン大統領しかり。こうした為政者が大受けする時代。私宅の夫婦の寝室まで案内され、アベも見事に丸め込まれたあげく、1兆円を差し出すハメに。
 トランプも、大衆の移り気な気分を十分に心得ていて、ますますあっけらかんと、あっさりと、こだわらず、ますますちゃらんぽらんであり続けるのではないでしょうか。
 トランプはその上に、「帝王」・「救世主」気分だからもっとタチが悪そう。核ボタンをもてあそびながら、アメリカをどう導いていくのでしょうか? 
 こうなると、日本を取り巻く国際情勢も安閑としていられません。北朝鮮、ロシア、中国、韓国に続いて、宗主国・トランプアメリカが登場したのだから。安保法制がいよいよ実働化することも。「東京オリンピック」まで世界は平和を保てるのかしら

《ノンシャラン》
 無頓着でのんきなさま。なげやりなさま。

《スキゾ》
 常に制度や秩序から逃れ出てゆく。非定住的・分裂的傾向。


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