おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

『民主主義全史』(ジョン・キーン 岩本正明訳)ダイヤモンド社

2022-10-07 20:12:04 | 読書無限

安倍元首相の「国葬儀」。法的根拠もないまま、閣議決定もないまま、国会への事前手続き(説明・同意)もないまま、すべて「ないままに」、岸田首相の独断というべきかたちで決定され、多額の税金を支出し、さらに自衛隊を前面に出して、挙行されました。

葬儀前もその後も、国民の意思(反対多数)は一顧だにされず、無視されています。

しかし、一方でこうした自公政権を支持する議員・支援者だけではなく、快哉と叫ぶ識者と称する評論家、文化人がマスコミにしばしば登場している現状。

「旧統一教会」、また「統一教会」と自民党との癒着問題は大した問題ではない、他にたくさん課題が山積している、それを論議すべきだ、と、野党たたきとマスコミへの圧力・・・。

安倍国葬でも、若い世代が多く献花に参列した。反対意見は、大陸からのものだ(そう投稿した議員は、撤回したようだが、その発言主は・・・)とか、・・・。

それでもまだ日本は、ましなのではないか。まだ議論ができるから、と高をくくってはいないでしょうか。

この書の副題として「独裁vs民主主義 これからの世界はどうなる? 」とあります。

民主主義をめぐる景色は一変している

30年ほど前まで、民主主義の前途は明るく見えた。人民の力は重要だった。恣意的な支配に対する市民の抵抗が世界を変えた。いま、民主主義者たちが不安定な時代を生きているという感覚にさいなまされながら、劣勢な立場置かれているのはなぜなのか。(表紙見開き)

「人民」による支持を得られた秩序と強力な政府こそが、まさに新たな専制主義国家としての、自信に溢れた支配者達が提供しているものであることは、間違いない。

彼らは、時代遅れの独裁国家や君主国家、軍事独裁国家とは違う。20世紀のファシズムや全体主義とも混同してはならない。新しいタイプの強権国家であり、支配者達は国民の生活を操作し、支持を集め、従属させる術に長けている。

富やお金、法律、選挙に加え、「国内の不満分子」や「海外の敵」から「人民」と「国家」を守るというメディアによる情報操作によって、徹底した依存関係を構築する。・・・彼らが抑圧や暴力によって支配していると考えるのは間違っている。彼らは巧妙な統治を心がけている。・・・彼らは詐欺と誘惑においては完璧主義者だ。「まやかしの民主主義」の支配者だ。(P247)

この書では、中国、トルコ、ロシア、インド、イラン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、またトランプ政権などを例に挙げて指摘します。

筆者の目から日本の政治状況は、民主主義史のなかで、どのようにとらえられているのでしょうか?

「集会民主主義の時代」(メソポタミア~ギリシャ)→「選挙民主主義の誕生」(欧州~大西洋へ)→「牽制民主主義の未来」(挑戦を受ける多様な民主主義)

という章立てで、「民主主義全史」を手短にとらえ直します。

牽制民主主義」というとらえ方が、言い得て妙な表現です。「選挙民主主義」ではとらえきれない民主主義のこれからのあり方を示唆する表現です。

かといって、選挙を軽んじてはなりません。選挙も「牽制」の大きな手段です。

以下は、「ダイヤモンド社」による、この書の解説紹介文です。

「民主主義」がこれほど注目される時代になったのは、私たちが不安定な時代を生きているという感覚にさいなまれながら、民主主義が劣勢な立場に置かれていると感じているためではないでしょうか。

【政治的に経済的に】中国のような専制、独裁国家のほうが、決められない民主主義国家よりも有利なのではないか?

【広がる格差】格差を生む資本主義と民主主義は、究極的には相性が悪いのではないか?

 たとえば、民主主義を支持する私たちも、このような疑問で揺らいでいます。それでもなぜ、民主主義を擁護すべきなのでしょうか? ジョン・キーン教授は、このような疑問に明快に応えてくれます。

 私たちは、民主主義国家である日本に育ちながら、民主主義のことをあまりに知りません。日本人を含む民主主義国の国民は、中国やロシア、そしてかつての民主主義国に誕生した「まやかしの民主主義国家」を率いる専制主義者からかつてなくプレッシャーを受けています。民主主義の歴史を知る意味はまさにここにあります。

 議論、意思決定、代表、選挙、議会、権力、平等、多様性……民主主義の本質に迫る、さまざまなジャンルの読者の関心に応えられる、新しい時代の教養書として読める一冊です。

※参考図書として

「史的システムとしての資本主義」ウォ-ラーステイン 川北稔訳(岩波文庫)

 


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