百島百話 メルヘンと禅 百会倶楽部 百々物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

桃源郷。

2022年08月22日 | 百伝。
昔、昔、大昔、千年昔、あるいは二千年昔、いつの頃か分からない中国の物語。

現在、桃源郷という言葉は、憂いの無い理想郷という意味合いでに使われています。

昔、中国の武陵という土地に、とある漁師が住んでいました。

ある日の漁の時、舟で川を上っていた所に桃の花が咲き乱れる場所が現れました。

さらに、舟をその奥まで進めていくと、人の身体1つ、やっと抜けられるぐらいの小さな洞窟の洞穴がありました。

その洞穴の中を抜けて潜り抜けて入っていくと、目の前が突如広がりました。

開けた豊かな田畑が広がり、人々は楽しく働いているのです。

漁師は、ここは中国武陵には違いないと思うのですが、どこだろうかと思案していました。

すると、村人が近づいて来ます。

ここに来るまでの一部始終を話しをすると、家に招いてくれて歓迎の宿泊、食事を用意してくれるのでした。

村人たちは優しく、客人として立派な寝室、御馳走まで振る舞ってくれたのです。

集まった村人によれば、村人のご先祖様が、幾百年昔、戦乱を逃れてこの隠れ里に移り住んだとの事。

それ以後は、外界との接触を一切断って暮らしているとの事。

数日間、夢のような美しい里で過ごした漁師が去る際に、ここでの出来事を固く誰にも話さないと口止めをされます。

でも、故郷に戻った漁師は約束を守れません。

あの美しい隠れ里での出来事を話してしまいます。

その話を聞いた役所の人は、さっそく漁師にその美しい里まで案内するようにと命令します。

しかし、どの川、どの道を辿っても隠れ里に通じる洞穴を見つけ出すことが出来ません。

漁師が、帰り道にひそかに付けておいた目印も見つける事も出来なかったのです。

漁師の不思議な体験から、その美しい隠れ里を「桃源郷」と呼ぶようになりました。

そして、人々は、いつまでも今なおも「桃源郷」を探し求めるようになったという物語です。

終り。

昔、昔、大昔から人間の暮らしというのは、戦乱によって平和な生活が壊されていたのでしょう。

戦(いくさ)の無い土地、平和な里の生活を願望している民衆の願望が「桃源郷」。

桃には、何かよい気、兆が実るようです。

続く。➡ユートピアヘ。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿