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100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

再度南方へ 4 ~風波を背に~

2010年08月03日 | 人生航海
戸畑港には、数日間いたが、そこで食品類や個人の私物等を買って出港した。

次に、唐津、長崎、枕崎と寄港したが、荒天のため回復を待った。

そこで、4~5日避難したあと、幸いに海上は穏やかであり、次の寄港地は、沖縄の那覇港だった。

那覇港は、皆初めてで珍しかった。

また2~3日滞在して、方々をゆっくり見学して出港した。

そして、次は、台湾の高雄港である。

私にとって、陸軍の軍属時代に高雄には二度行ったことがあり、懐かしかった。

高雄では、日本の最後の港だったので、航海に必要な物は総て積んで、船員も私物を買い込んで、長期の航海に備えた。

当時は、戦時中の事でもあって、目的地に到着するまでは、海軍関係の指示に従って運航しなければならなかった。

燃料や食料品等の補給も受けながら、航海を続けるように決められていたのである。

その後は、ルソン島に渡り、東部を南下して、ボルネオの東側からバンジェルマシンに入る予定であった。

が、思わぬ悪天候の大時化に遭遇した。

予定通りにはいかず、大変な事態に陥ったのである。

乗組員全員は、必死の覚悟で航海を続けねばならなかった。

針路の事を考える余裕もなかった。

ただ、風波の事のみ思いながら、風波を背にして、大嵐の中を航海を続ける他はなかったのである。

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