わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸204(林正太郎2)

2012-09-28 21:29:34 | 現代陶芸と工芸家達

林正太郎氏の作品は、実用性と言うより、鑑賞を第一に考えている様にもみえます。

「自分の心に感じるものを、斬新な志野の作品にし、バランスの良い作品を作る事」を、目指して

いる様です。  

尚、釉は福島長石や平津長石を使い、ガス窯で1250℃で六昼夜焼成しているとの事です。

 ② 林氏の陶芸。

   ) 面取りの作品。

      分厚く轆轤挽きした壷などを、鋸(のこぎり)で、豪快に削ぎ落とした作品です。

     尚、面取りの作品は、美濃の山々をイメージして作っているとの事です。

     a) 約12Kg の土を高さ30cm程度の作品に仕上げる事から、いかに分厚く轆轤挽きして

        いるかが解かります。

     b) 面取りは面の数が少ない程、大きく削り取る必要があります。

        林氏は6~8面が多い様に見受けられます。

     c) 轆轤挽き後一日乾燥してから、40cm程の鋸をやや弓なりにして、歯の方向や背(嶺)を

       使い、鋸の両端を持って、切り口が曲面に成る様に一度で、躊躇せずに削ぎ落とします。

       尚、鋸は錆びた方が、土離れが良いそうです。

       面は螺旋状に切り取りますが、螺旋方向は、作品の形状や、その時の気分で左右に

       変化させます。又、螺旋にも変化を持たせ、途中で段差を付けたり、途中で螺旋方向を

       変えたり、更には、面の幅などにも広い狭い面と変化を持たせています。

     d) 大きな作品に成ると、削ぎに3日間程掛かるそうです。

        又、口縁などから割れが出ない様に、角材を用いてしっかり土を締めます。

        当然、肉厚の部分(面と面との境=稜線)と、薄い部分(面の中央部)が出ますので、

        乾燥による、「割れ」や「裂け」を防ぐ為にも、時間を掛ける必要があります。

     e) 面取りの作品: 40歳から約10年間、面取りをテーマとした作品を作っています。

      ・ 志野壷 :  高 27、径 33.5 cm。

      ・ 志野桜紋壷 : 高 33.5、径 29 cm。

   ) その他、花入や、大皿、銘銘皿なども作っています。

      ・ 志野耳付花入 : 高 25、径 17 cm。

      ・ 茜志野桜文大皿 : 高 14、径 68 cm。

      ・ 志野銘々皿(五客) : 高 3.5、径 13 cm。

 ③ 万葉彩(まんようさい)に付いて。

    近年、志野と黄瀬戸を融合し、身近な紅葉や桜、雲、空などの自然を表現する「万葉彩」を

    発表しています。一つの作品に、 白、黄色、赤(茜)、薄い青、黒色を散りばめた、柔らかで、

    優しい感じの、口の狭い真丸い壷で表現されています。

    ・ 万葉彩壷 : 高 37、径 45 cm。

次回(山田絵夢氏)に続きます。

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