海賊女王

2013-10-18 15:28:54 | 日記

皆川博子著   光文社刊

著者の作品を読むのは、何年ぶりだろうか。若い頃はこの人の作品が好きで、片っ端から読んでいたのだが。縁遠くなったのは仕事のせいである。と言う訳で、久しぶりで手に取ったのが本書。いや、面白かった! 血湧肉躍るという年ではないけれど、めずらしく一気読みしてしまった(まず、最近ではないことなのだが)。
舞台は16世紀のイングランドとアイルランド、主人公はアイルランドの海賊女王グラニュエル・オマリーと、イングランドのエリザベスⅠ世。多くの方が察しが付くように、つい最近まで抗争を続けていたふたつの国の話である。アイルランドの海賊女王は正に海賊であるが、エリザベスⅠ世も海賊稼業を国家事業としていたイングランドの大スポンサーだったのだから、同じ穴の狢同士と言っていい(しかも、ふたりは同い年)。ココから先は書かない。間違いなく、一気読みに没入する。保証します。
唯、秀逸なのは二人の女性の描写である。特に老齢(当時としては)に至った二人の描写が凄い。著者の年齢がさせる業かもしれない。その容赦ない筆致に驚かされる。それが分かる私も歳か!


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