わたしが明日殺されたら

2011-05-24 15:14:20 | 日記
フォージア・クーフィ(アフガニスタン次期大統領候補)著   徳間書店刊

これは、母親が二人の娘に残す遺「書」である。

著者は2005年にアフガニスタン国会の下院議員選挙に当選した女性議員のひとりである。しかも、下院副議長に立候補し、見事当選した女性でもある。現在2期目務めている。先進国では別にめずらしい話ではない。
しかし、イスラム教国のアフガニスタンでは、これは自らの命を賭けたに等しいことなのである。事実タリバンに狙われ、車に爆弾を仕掛けられたり、誘拐されそうになったり、同乗の警察官が殺されたりしたことは再三再四で、今もその情況は変わらない。タイトルの『わたしが明日殺されたら』は、誇張ではなく、現実そのものなのだ。生身の命が日常狙われているのだ。その恐怖はいかばかりだろうか。
著者のこれまでの人生は悲劇に満ちている。父親はムジャヒディンに処刑され、兄、姉親戚の数人、さらに夫もタリバンに殺されている。女性に教育は必要ないというイスラム教世界の中にあって、大学を卒業し、ユニセフの児童保護担当官としてただひとりのアフガン女性となったのは、彼女の努力と意志の強さに負う所が大きい。
本書の結びの言葉を引用したい。
「わたしが生きるのはその(アフガニスタンの再建、民主主義の実現)ためだ。
そしてわたしが死ぬのもそのためだろう」
「そしてもし、タリバンがわたしを殺すのに成功しなかったら?……たぶんわたしは、アフガニスタン初の女性大統領の地位につこうと努力しているだろう」

翻って考えてみる。日本の政治家に、お為ごかしの(政治)生命ではなく、自らの命を賭けて仕事をしている議員はいるだろうか。いない!!

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