魂に息づく科学  -ドーキンズの反ポピュリズム宣言 - 

2019-03-09 09:15:03 | 日記

リチャード・ドーキンズ著  早川書房刊

久し振りの著書だが、これまでの科学的な著書ではなく、どちらかと言うと散文である。いかも、なかなかの文体なのである。寄稿分や手紙、そしてエッセイなどであるが、その舌鋒は少しも変わらない。すでに70歳半ばなのだが。それにしても「魂の…」とはドーキンズらしくないが、それは本文を読めば分かる。
徹底したダーウィン主義者が、「たとえば英国のブレグレジッド問題を、あるいは米国のトランプ大統領登場を……」どう論評するか興味ありませんか? 詳細は書きませんが、ダーウィン主義という生物学的信念を他の分野に応用したら…こんな風になるという実例です。その文体のキレのいいこと!!第一部の「科学のためにーチャールズ皇太子への公開状」などがシニカルなユーモアで゛面白い。
もうひとつ。彼の譲れない信念「神は妄想である」。これを遺憾なく表明した第四部の「メリー・クリスマス、首相」。これもなかなか……。

ただし、一気読みは出来ません。例のごとく脚注が多いのです。正直言うと、脚注の脚注が欲しいくらい。なんと読了まで三ヶ月かかってしまった!
瑣末な感想ですが、日本にこんな学者も、それを受け止められる+首相も大臣もいない!とツクヅク思いましたねぇ。

 


 

 


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