天皇陵の謎

2011-10-26 15:35:08 | 日記
矢澤高太郎著  文春新書

我が国には、天皇陵を中心とした陵墓が896も存在しているそうだ。それらの全ては宮内庁の管理下にあり、「禁断の聖域」としていっさいの立ち入りが厳禁とされている。古代の天皇、皇族の陵墓には古代国家成立の鍵が秘められているに違いないのにだ。歴史学、考古学の進展の大きな障害になっているにも拘らず。しかも、それらの被葬者に関しては、九割近くが別人の可能性が高いらしい。なかにはただの自然丘と明らかに分かるものもあるそうだ。
詳しくは本書を読んで欲しい。
歴史学や考古学の視点から言えば、天皇陵は公開されるべきだと思う。天皇陵が天皇家という一個人の家族の墓であるということは十分尊重しなければならないが、同時に天皇家は日本人の代表として存在したのであり(少なくても古代の天皇は)、そこには日本人のルーツ、日本の文化・外交史を証明される物が埋葬されているかもしれないからだ。
但し、なにもかも公開していいかというと、私は著者の意見に賛成する。周辺部分はともかく、主体部分を発掘するのはどうだろうか。まだ、早い。私が思うには少なくても後二世代くらい後がいい。明らかにされるであろう事実を虚心坦懐に受け止められる世代はまだ育っていない、というか戦前の残滓がまだ残っている、と思うからだ。



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