日本は世界第4位の海洋大国

2011-04-20 16:28:21 | 日記
山田吉彦著   講談社α文庫

日本が海に囲まれていたことが、どれほどのことだったかはユーラシア大陸の歴史を見れば一目瞭然だろう。海という国境があったからこそ、日本は外国に侵略されることはなかった。
しかし、その海を経済的に評価するのに「排他的経済水域」「領海」という国際条約があるのは知っていたが、「海水の体積」という要素も考慮しなければならないとは、本書を読んで初めて知った。排他的経済水域では世界第5位、海水の体積では世界第4位、つまり海を三次元で考えようというわけだ。
確かに海は資源の宝庫だ。漁業という意味だけではなくもっと多くの資源があるのだ。詳しくは本書にゆずるが、海水にはウラン、コバルト、メタン、チタン、モリブデンといった有用金属資源が含まれているし、海底には金、銀、銅、亜鉛といったものもゴロゴロある。
ただ、本書を読んで気になったことがひとつある。これらを実際に手にするまでには様々な研究と資金が必要だ。著者は採算性が取れると確信を持つまでは、企業は事業化に乗り出さないと思っていることである。そう悲観したものではないのではないか。「百年の計」とは言わないが、30年、50年の長期スパンで投資しようという企業もあるのではないか。国家が長期スパンの政策を持つのは当たり前だが、今の政界を見るとそれも覚束ない。ここは、民間が手を挙げるより仕方ないような気がする。
あと問題になるのが、韓国、中国、台湾、北朝鮮、ロシアといった国々との領土問題だが、もちろん政治的駆け引きも大事だが、著者も指摘するように経済力というソフトパワーもこれを打開する手段になるのではないか、という意見は一考の余地があるように思える。
いずれにせよ、これからの日本は、海洋資源立国というビジョンを持たなければならない、という主張には諸手を挙げて賛成したい。まずは、若者の目を海に向けさせることですかねぇ。

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