ガセネッタ&シシモネッタ   読み返した本 10

2011-04-28 16:21:16 | 日記
米原万理著  文春文庫

『曲り角の日本語』を読んだ後、ふと思いついて同書を読み返した。ロシア語通訳者である著者が、異言語を日本語に通訳することが如何に難しいかを、ユーモラスにかつ辛辣に書いた本でなかなか面白い。
その中で文章を速読する時は、他の異言語で書かれたものに比べ日本語で書かれたものの方が6倍速い、という意見をみつけた。これは英語、フランス語、イタリア語、ロシア語などの通訳者も同じ意見だという。
「当たり前だろう!」と思うかもしれないが、そこには他言語と日本語の間に大きな違いがある。欧米語は表音文字で書かれている。しかるに、日本文は表意文字(漢字)と表音文字(ひらがな、カタカナ)混じりで書かれている。つまり、文中の主な表音文字を拾い読みすればおおよその内容は分かるし、文末を読めば主題を肯定しているか否定しているか分かる(実はここが同時通訳者がいつも悩ましいことなのだという。日本人の話は終わるまで肯定か否定か分からないからだ)。つまり、欧米語ではまず最初に「アイ ドント ライク」という風に結論が頭に来ますからね。
ところで、日本文の読み易い基準は漢字が全文の三割位がよいと良いと言われている(40年くらい前は45%近かった)。思い当たることありませんか。『三国志』は読みにくいですよねぇ。漢字が七割あるんじゃないか。同時に、日本の現代文学、七割がひらがなとカタカナ(外国語、それの省略形、今風のスラング)で書かれている。一体何を言いたいのかさっぱり分からない。
つまり、こうした文体は速読には向かないというわけ。欧米語そうなのですね。表音文字だけの文章は、日本人には向かないということです。
何を言いたかったのかな?

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