いずれの日にか国に帰らん

2018-11-15 09:03:40 | 日記

安野光雅著  山川出版社刊

「国」とは、著者・安野光雅の島根県津和野のことである。動機はともかく、本書はその思い出(昭和初期の頃)を描いた画集である。
私が言いたいのは、これは彼が画家・安野光雅として描いたものではない、と言うか、その気負い見られないのだ。ちょっと絵が゜得意な者が「ボクが生まれた家はココ、隣の家は〇〇屋で、その前に川があってネ、そこでサワガニを捕ったんだ」と、呟きながら描いたような絵なのだ。
これが良い、故郷の町並み、山々の四季、小学校、もちろん当時だから馬車や人力車も描かれている。なんとも仄々した郷愁滲み出ているのだ。実際、私も絵ではなく(描けない!)、小中校時代の街並みの地図を描いてみたほどだ(独り言を言いながらね!)。
構えていない安野光雅の絵をはじめて観た。なんとも懐かしい想いを起こす“絵本”だった。