開高健 名言辞典「漂えど沈まず」 ー巨匠が愛した名句・警句・冗句200選ー 

2013-07-04 15:26:13 | 日記

滝田誠一郎著  小学館刊

忘れた頃に、開高健を読むことが出来るのも彼の作品故かもしれない。どの本で使われたのか明示されているので、確認できるのも楽しみのひとつだ。
唯、気になるのはタイトルの「巨匠」という文字である。生前から使われていたのかどうか知らないが、改めて見ていると、私の印象としては似合わない(あの、シャイな彼が…、本当に…?)。確かに開高健は「巨才」ではあった。名コピーライターだったし(彼が編集した『洋酒天国』が欲しいばかりにトリスバーに通いつめたこともあった)、抜群の戦争ルポタージュの書き手でもあった(゛ヘトナム戦争の折、新聞記事には載っていない記事に血が騒いだし、べ平連を斜めに見ていたこともある)。
そして、食通・酒通でもあったし(著作に載っていたカクテルを飲みたいために、身分不相応にホテルのバーに行ったこともある)。そして、世界を股にかけた釣り師でもあった(銀山湖にも行きました。碌に釣りもできないのに)。でも、「巨匠」ではなかったように思う。
ところで、著者が取り上げた名言のから今の日本にピッタリのものを見付けた。『賢い為政者が四苦八苦して治めなければならない国は不幸である』(48頁)。そして、著者のコメントである。「この言葉に照らすと、現在の日本の民は幸福なのだということになるのだろう」。
どちらも、なかなかのものじゃないか!