天皇はなぜ滅びないのか

2011-10-14 08:38:53 | 日記
長山靖生著  新潮選書

読後の第一印象は、決定的な根拠が希薄というか、情況証拠ばかりというものだった。少なくても、私には……。そこで、私見を述べてみたい。
なるほど平安期以降、日本の支配権は武士階級が握ったが、特異な点は彼等が自らの権威付けのために系図(先祖)を利用した点だ。武士階級は遠祖が天皇家に繋がることで、自らの支配的地位に正当性を得ていた。つまり、天皇家を滅ぼすことは自らの家系・権威を否定することに等しい。ということは、武士階級は天皇家に対して自縄自縛状態だった。
そして、明治維新では究極の権威・天皇を持ち出すことで武士階級から支配権を取り戻した。その後は我々が知っている歴史を辿った。これらのことを証明するのは大変だろうが、この辺に鍵があるように思えてならない。なぜ、彼等がでっち上げにせよ、自らの遠祖を天皇家に求めなければならなかったのか、そこに天皇家の存在意義があるのではないだろうか。