おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

次郎長三国志 第九部 荒神山

2023-12-05 06:45:06 | 映画
シリーズの最高作と目される「次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊」は2019年8月13日で紹介済みです。

「次郎長三国志 第九部 荒神山」 1954年 日本


監督 マキノ雅弘
出演 若原雅夫 千秋実 小堀明男 河津清三郎 水島道太郎
   田崎潤 森健二 田中春男 緒方燐作 小泉博 角梨枝子
   岡田茉莉子 浜田百合子 広沢虎造 江川宇禮雄 山田巳之助
   石黒達也 上田吉二郎 佐伯秀男 今泉廉 阿部九州男 高堂国典

ストーリー
石松の仇を取ろうと、都田村の吉兵衛(上田吉二郎)、都田村の常吉(佐伯秀男)、都田村の梅太郎(今泉廉)の三兄弟を匿った新辰親分の元に討ち入った大政(河津清三郎)たち。
まともに戦ったのでは勝ち目の無い新辰は、百姓家に火をつけ、大政たちの仕業だとふれ回った。
三兄弟を取り逃がした上に、火付けの濡れ衣を着せられ、一家の面々は山に立て籠らざるを得ない。
役人と結託した新辰は百姓を前面に押し立て山狩りを行う。
次郎長一家が百姓に手出しをしないことを見込んでのことであった。
小政(水島道太郎)たちは火付けは自分達ではないと説明するが百姓たちは聞く耳を持たない。
山から下りてこられない次郎長一家を見て、都田村の三兄弟は村から出ていってしまう。
途方に暮れる大政達だったが、そこへ次郎長の言伝を持って喜代蔵(長門裕之)がやって来た。
彼がもたらしたのは「身の証を立てるまでは帰って来るな」という言葉と、手切れ金だという30両だった。
妻ぬいの大政への伝言から次郎長がお忍びで吉良の仁吉(若原雅夫)の婚礼に出かけることを知り、次郎長に会いに行く決心をし山を下りる。
待ち受けた村人たちに詫びを入れ、村人が投げる石に無抵抗で耐えた。
そして次郎長から預かった金を「火付けの犯人ではないので見舞金とさせて頂きましたと」村人に差し出す。
村の長老は、これこそ侠客だと言って大政達を認め見送った。
吉良では仁吉と吉良の馬之助(高堂国典)の娘お米(角梨枝子)との婚礼が行われていて大勢の親分衆が集まっていたが、火付けの罪を問われている次郎長(小堀明男)の姿はなかった。


寸評
どうやら大政達、次郎長一家の面々は殺された森の石松の仇討の為、都田村の吉兵衛たち三兄弟に殴り込んだようだが、桶屋の鬼吉のあせりから取り逃がし、おまけに火付けの濡れ衣を着せられてしまっているらしい。
その経緯が全く分からず、彼等の話で想像するしかない。
この作品ではよくある描き方だが、やはり石松の無念を晴らすために吉兵衛に斬りかかる場面が見たかったし、吉兵衛たちが火を放ち、それが大政達の仕業だと吹聴する場面だってなくてはならないと思うのだが、それらの見せ場は割愛されている。
この「荒神山」は前後編で撮られる予定だったらしいから、前半の前半ともいえる場面は山にこもる次郎長一家と新辰、役人の攻防が描かれている。
役人たちは百姓を矢面に立たせ、自分たちは後ろから着いていくといった体たらくである。
次郎長一家の面々は百姓を傷つけないが、新辰を引き渡してくれれば捕まってやると言いながら、向かってくる役人たちを斬り捨てている。
役人のメンツにかけても大政達を召し取らねばならないが、反撃を受けて簡単に退散してしまっている。
百姓たちと和解する場面では役人たちはどこかに行ってしまっていていない。
話の都合上仕方がないのは分かるが、どうもリアリティに欠けている。
もっともこのシリーズはリアルな時代劇を狙ったものではないから、そんなことに目くじらを立てることもあるまい。

場面は変わって吉良になるといよいよ吉良の仁吉の登場である。
仁吉はお米の婿養子になって吉良の馬之助の跡目となるが、僕が描いていたイメージと違ってどこか頼りなくて老いた馬の助から喝を入れられている。
仁吉は跡目をお米に譲って、自分は亭主としてお米を支えると宣言する。
この婚礼の席には黒駒の勝蔵(石黒達也)も出席していて、やがてやって来る次郎長一家との決戦を思わせる。
婚礼には神戸の長吉(千秋実)も参加していて、お米から「次郎長の子分はあんたみたいに馬鹿じゃないよ」とからかわれているが、二人は一体どんな関係だったのだろう。
神戸の長吉も伊勢の国鈴鹿で一家を張る親分だから、その親分にお前呼ばわりできるお米はそのまた上と言うことになる。

子分たちは次郎長との再会を果たすが、その場面はしみったれたもので、次郎長が皆の無事を祈るだけのもので盛り上がりに欠ける。
そして場面は変わり荒神山となる。
吉兵衛たちは安濃徳(阿部九洲男)の所に草鞋を脱いでいて、黒駒の勝蔵の支援を受けている安濃徳は神戸の長吉の縄張りである荒神山を狙っている。
山下の村は日照りが続き雨乞いの最中・・・というところで前半が終わる。
後半があればまた感じは違っただろうが、これでシリーズが打ち切りとなれば全くもってつまらない最終話となってしまっていて残念だ。


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