「ぬ」は少なかったですが、「ね」もあまり思い当たりません。
「眠らない街 新宿鮫」 1993年 日本
監督 滝田洋二郎
出演 真田広之 田中美奈子 室田日出男
奥田瑛二 矢崎滋 今井雅之
松尾貴史 浅野忠信 塩見三省
中丸忠雄 余貴美子 大杉漣
ストーリー
“鮫”の仇名を持ち、暴力団からも警察内部からも恐れられている新宿署防犯課の警部・鮫島(真田広之)は、改造銃のスペシャリスト木津要(奥田瑛二)を単独で追っていた。
折しも、木津が作った銃によって警官二人が殺され、特捜部が開設される。
警視庁からやって来た公安一課の香田警視(今井雅之)と鮫島は因縁の仲で、互いに敵視しあっていた。
四面楚歌の状況の中で鮫島の心を唯一癒してくれたのはロックバンド“フーズ・ハニイ”のボーカル・晶(田中美奈子)だった。
ある日、鮫島はとうとう木津の居所を探しあてる。
そして彼の仕事場も突き止め、踏み込むが、逆に木津に捕まってしまう。
『おまえとたっぷり楽しんで、それから殺す』――その時、絶体絶命の鮫島を助け木津を射殺したのは、桃井課長(室田日出男)だった。
木津の最後の発言から、改造銃は彼の恋人カズオの手に渡り、またそこから砂上(浅野忠信)という青年に渡ったことが判明する。
砂上は以前サミット開催による厳重警戒で警官が多数出動しているにもかかわらず、歌舞伎町でヤクザにリンチされたことを恨んでいたのだ。
今度は遂にその三人のヤクザが射ち殺された。
特捜部は砂上がアイドル歌手・松樹由利のコンサート会場で心中するものと考え会場のシアターアプルに向かうが、鮫島はただ一人、彼が晶のバンドのファンであることを突きとめ、ライブハウスへと向かう。
まさに砂上が晶とともに心中しようとした時、鮫島は彼を倒し、晶を助けるのだった。
しかしその時、そんな二人を見つめる男がいた。
寸評
真田広之が主演の映画だけれど、もう一方の主役は新宿、歌舞伎町だ。
主人公の鮫島が所轄の日本一の繁華街である夜の歌舞伎町を闊歩するが、その様子が現地ロケもあって異様な活力を生み出している。
夜の歌舞伎町に1、2度行ったことがあるが、まさに不夜城で、眠らない街は大げさではない。
鮫島はキャリア組の警察官であるが、一番もめ事が多い歌舞伎町の防犯課に追いやられている。
少なからず腐敗のある所轄警察の同僚も情け容赦なく逮捕する正義感のため内部では浮いた存在だ。
全くの潔癖かと言えばそうでもなく、人を見てはお目こぼしもしてやっているようだ。
そんな彼が歌舞伎町のヤクザをコテンパンにやっつける姿が頼もしい。
彼が役職上の閑職に追いやられているのは、警察内部の過去の事件が関係しているのだが、その内容は深く描かれていない。
そこをもう少し要領よく描いていたら、鮫島の浮いた捜査のやり方なり、彼の人物像そのものがもっと浮かび上がったのではないかと思う。
それでも滝田洋二郎の演出はキレがあり、昨今の日本製ハードボイルド映画としては出色の出来だ。
登場人物は異様な人間ばかりだ。
筆頭は、改造銃を作っている木津要の奥田瑛二で、ホモっけのある彼が鮫島に迫るシーンは奥田瑛二だからこそ出せたものだったと思う。
映画の中では、この木津が犯人かと思われるタイミングもあるが、鮫島がずっと張り付いていたことで第二の殺人の容疑からはずれる。
となれば、木津が流した改造銃を使う人物がいるはずで、エドと名乗る男が浮かび上がってくる。
どうやら警官マニアらしいのだが演じた松尾貴史が変人マニアを上手く演じていたと思う。
しかし彼は異様な雰囲気を出してはいるが、観客である我々の前に出過ぎで、この作品が持つ雰囲気からすれば真犯人ではないと容易に想像できる。
となれば真犯人はきっとあの男だとなるわけだが、そこに行きつくまでの描き方もなかなかどうして楽しませる。
一番最初に登場する改造銃が凶器と思いきや、実は…という展開まで用意されている。
キャリアとノンキャリの対立もあり、馬鹿にされているノンキャリアの室田日出男に、捕らわれた鮫島を助けに来る颯爽とした場面を用意することでノンキャリの意地を描きスカッとさせる。
直前の食堂でキャリア組に馬鹿にされたことが伏線としてあるので、余計に恰好よかった。
真田広之のはみ出し刑事ぶりが決まっていて、ドブネズミ的な服装をしたりもするがアクションはスマートでヒーロー的である。
ヒロインの田中美奈子は歌手兼俳優という女性だが、決して芝居が上手いとは言えないけれど、この映画の中、夜の新宿という設定では雰囲気をもって納まっていた。
ラスト・シーン、新たな殺人犯がすでに表れていて、再び彼女が狙われるのではないかと思わせる。
時々見る演出だがシャープに決めていた。
「眠らない街 新宿鮫」 1993年 日本
監督 滝田洋二郎
出演 真田広之 田中美奈子 室田日出男
奥田瑛二 矢崎滋 今井雅之
松尾貴史 浅野忠信 塩見三省
中丸忠雄 余貴美子 大杉漣
ストーリー
“鮫”の仇名を持ち、暴力団からも警察内部からも恐れられている新宿署防犯課の警部・鮫島(真田広之)は、改造銃のスペシャリスト木津要(奥田瑛二)を単独で追っていた。
折しも、木津が作った銃によって警官二人が殺され、特捜部が開設される。
警視庁からやって来た公安一課の香田警視(今井雅之)と鮫島は因縁の仲で、互いに敵視しあっていた。
四面楚歌の状況の中で鮫島の心を唯一癒してくれたのはロックバンド“フーズ・ハニイ”のボーカル・晶(田中美奈子)だった。
ある日、鮫島はとうとう木津の居所を探しあてる。
そして彼の仕事場も突き止め、踏み込むが、逆に木津に捕まってしまう。
『おまえとたっぷり楽しんで、それから殺す』――その時、絶体絶命の鮫島を助け木津を射殺したのは、桃井課長(室田日出男)だった。
木津の最後の発言から、改造銃は彼の恋人カズオの手に渡り、またそこから砂上(浅野忠信)という青年に渡ったことが判明する。
砂上は以前サミット開催による厳重警戒で警官が多数出動しているにもかかわらず、歌舞伎町でヤクザにリンチされたことを恨んでいたのだ。
今度は遂にその三人のヤクザが射ち殺された。
特捜部は砂上がアイドル歌手・松樹由利のコンサート会場で心中するものと考え会場のシアターアプルに向かうが、鮫島はただ一人、彼が晶のバンドのファンであることを突きとめ、ライブハウスへと向かう。
まさに砂上が晶とともに心中しようとした時、鮫島は彼を倒し、晶を助けるのだった。
しかしその時、そんな二人を見つめる男がいた。
寸評
真田広之が主演の映画だけれど、もう一方の主役は新宿、歌舞伎町だ。
主人公の鮫島が所轄の日本一の繁華街である夜の歌舞伎町を闊歩するが、その様子が現地ロケもあって異様な活力を生み出している。
夜の歌舞伎町に1、2度行ったことがあるが、まさに不夜城で、眠らない街は大げさではない。
鮫島はキャリア組の警察官であるが、一番もめ事が多い歌舞伎町の防犯課に追いやられている。
少なからず腐敗のある所轄警察の同僚も情け容赦なく逮捕する正義感のため内部では浮いた存在だ。
全くの潔癖かと言えばそうでもなく、人を見てはお目こぼしもしてやっているようだ。
そんな彼が歌舞伎町のヤクザをコテンパンにやっつける姿が頼もしい。
彼が役職上の閑職に追いやられているのは、警察内部の過去の事件が関係しているのだが、その内容は深く描かれていない。
そこをもう少し要領よく描いていたら、鮫島の浮いた捜査のやり方なり、彼の人物像そのものがもっと浮かび上がったのではないかと思う。
それでも滝田洋二郎の演出はキレがあり、昨今の日本製ハードボイルド映画としては出色の出来だ。
登場人物は異様な人間ばかりだ。
筆頭は、改造銃を作っている木津要の奥田瑛二で、ホモっけのある彼が鮫島に迫るシーンは奥田瑛二だからこそ出せたものだったと思う。
映画の中では、この木津が犯人かと思われるタイミングもあるが、鮫島がずっと張り付いていたことで第二の殺人の容疑からはずれる。
となれば、木津が流した改造銃を使う人物がいるはずで、エドと名乗る男が浮かび上がってくる。
どうやら警官マニアらしいのだが演じた松尾貴史が変人マニアを上手く演じていたと思う。
しかし彼は異様な雰囲気を出してはいるが、観客である我々の前に出過ぎで、この作品が持つ雰囲気からすれば真犯人ではないと容易に想像できる。
となれば真犯人はきっとあの男だとなるわけだが、そこに行きつくまでの描き方もなかなかどうして楽しませる。
一番最初に登場する改造銃が凶器と思いきや、実は…という展開まで用意されている。
キャリアとノンキャリの対立もあり、馬鹿にされているノンキャリアの室田日出男に、捕らわれた鮫島を助けに来る颯爽とした場面を用意することでノンキャリの意地を描きスカッとさせる。
直前の食堂でキャリア組に馬鹿にされたことが伏線としてあるので、余計に恰好よかった。
真田広之のはみ出し刑事ぶりが決まっていて、ドブネズミ的な服装をしたりもするがアクションはスマートでヒーロー的である。
ヒロインの田中美奈子は歌手兼俳優という女性だが、決して芝居が上手いとは言えないけれど、この映画の中、夜の新宿という設定では雰囲気をもって納まっていた。
ラスト・シーン、新たな殺人犯がすでに表れていて、再び彼女が狙われるのではないかと思わせる。
時々見る演出だがシャープに決めていた。
曲はブルース・スプリングスティーンを狙っているのでしょうがね、無理でしたね、彼女では。