おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

サマーウォーズ

2022-07-25 07:02:12 | 映画
「サマーウォーズ」 2009年 日本


監 督  細田守
声の出演 神木隆之介 桜庭ななみ 谷村美月 斎藤歩
     横川貴大 信澤三恵子 谷川清美 桐本琢也
     田中要次 仲里依紗 皆川陽菜乃 富司純子

ストーリー
現実と同様の仮想都市OZが作られ、世界の隅々まで行きわたるようになった現代。
東京・久遠寺高校2年生、物理部所属の小磯健二(声: 神木隆之介)は、天才的な数学力を持ちながらも数学学生チャンピオンの座を取りそこない、自信をなくしかけていた。
夏休みには友人と共にOZの保守点検のアルバイトをする予定だったが、ふとしたきっかけから憧れの先輩、篠原夏希(声: 桜庭ななみ)に誘われて長野県の高原・上田市を訪ねることになった。
そこは室町時代から続く戦国一家・陣内家で、夏希の曾祖母・栄(声: 富司純子)の90歳の誕生日を祝うため、各地から医者や漁師、消防士、水道局員、電気店経営、警官や自衛隊の将校、小学生や赤ん坊まで、多彩な親戚が集まっていて、そこで健二は突然、夏希からフィアンセを装うよう頼まれる。
健二は困惑しながらも栄のために数日間の滞在をすることになった。
仮想都市OZに出現した謎のアバター“ラブマシーン”は、完全無欠と思われていたOZ管理棟のパスワードを入手する。
OZの心臓部に侵入したラブマシーンは4億人以上のアカウントを奪取、現実の世界を一変させてしまう。
緊急通報システムと交通管理システムを麻痺させ、警察や消防署、病院は機能しなくなり、大渋滞によって流通はストップ、世界中が大混乱に陥っていった。
そんな騒ぎを目の当たりにした栄はうろたえる人々を前に持ち前の度量を発揮、長年の人望を武器に陣頭指揮を開始し、事態は収束に向かうが、栄は翌朝、心臓発作(狭心症)で死去してしまう。
陣内家の女性が葬儀の準備を進める中、健二と陣内家の男性有志はラブマシーンを倒す準備を進めていた。


寸評
僕はアニメ作品はあまり好きではないのだが、このアニメは面白いと思った。
デジタルとアナログが巧みに交差している描き方がしっくり来たのだと思う。
デジタルはOZという仮想空間で世界中が繋がっているネット社会である。
アナログを感じさせるのは陣内家がある田舎の様子である。
バーチャルな世界ではない、現実社会である陣内家の描き方がノスタルジーを感じさせる。
陣内家はどうやら真田の家臣であったようで、その事が誇りでもあるようだ。
むしろ陣内家は真田家そのものであるようだ。
陣内万助が徳川による上田戦争を熱く語っている。

おばあちゃんの90歳の誕生日に一族が集まってくる。
振り返れば僕がまだ幼かった頃、何かといえば一族が集まっていた。
一体この人がどのような関係の人なのかは分からないままなのに親しさだけはあり、土地の名前を付けてXXのおっちゃんとか、○○のおばちゃんとかで呼んでいた。
人数が集まればそれに準じた食べ物が必要で、女性陣が総出で食材を用意していた光景が目に浮かぶ。
最近は親戚と言うコミュニティが失われてきているように感じる。
陣内家の人々はごく普通の人々ではあるが、サラリーマンから見れば特殊な人たちであるのが面白い。
自衛隊員、消防士、警察官、水道局員といった公務員や、漁港で働いている人、医者、格闘ゲームのチャンピオンなど多士済々である。
嫁に行った娘も帰って来て賑やかなことこの上ないが、頼まれたとはいえこの様な集まりに加わった健二の疎外感はよくわかる。
食事のシーンなどは懐かしさもあって、上手く描いているなあと感心した。
僕はOZの場面より、断然陣内家の場面が気に入っている。

OZの世界では、アカウントの乗っ取り、なりすまし、パスワードの取得などが描かれ、対戦ゲームが繰り広げられ、システムダウンによる世界的な混乱も描かれている。
それらはネット社会の危うさでもある。
デジタルとアナログが融合するのが、ラブマシーンと夏希のアバターが対決するゲームである。
ゲームがおばあちゃんが得意としていた花札というのが面白い。
”こいこい”での勝負が面白いと思うが、描き方は単純で盛り上がりには駆けている。
手札と場札を見極めてより点数の高い役を狙えるかどうかを判断するのが”こいこい”の醍醐味で、いけると判断すれば「こい!」と掛け声をかけるのだが、相手に低い点数でも先に役を作られて逆転されるケースもある。
そのケースが描かれて夏希が苦戦することになる。
陣内家の面々は身内が仕出かしたことは自分たちで片付けると宣言する。
侘助も帰って来てラブマシーンと対決するのだが、この作品のテーマは起きたことに対して「責任をとる」ということではなかったかと思う。
実社会では、あまりにも言い訳ばかりで責任を取らない人が多すぎるように思うのだ。


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