おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ザ・プレイヤー

2022-07-24 07:48:13 | 映画
「ザ・プレイヤー」 1992年 アメリカ


監督 ロバート・アルトマン
出演 ティム・ロビンス
   グレタ・スカッキ
   フレッド・ウォード
   ウーピー・ゴールドバーグ
   ピーター・ギャラガー
   ブライオン・ジェームズ

ストーリー
グリフィン・ミルは大手映画スタジオのエグゼクティヴだ。
最近、彼を悩ます出来事が2つあった。
ひとつは20世紀フォックスからやり手プロデューサー、リーヴィーが引き抜かれてくるという。
もうひとつは、企画をボツにされた脚本家から頻繁に脅迫状が届けられることだ。
売れないライターのデイヴィッド・ケヘインをその送り主とみたグリフィンは、彼と会ったのだが、口論の末に勢い余ってケヘインを殺してしまう。
だが翌日、死んだはずの男からファックスの脅迫状がグリフィンのもとに送られてくる。
しかも、ライバルのリーヴィーは予定より早く会社を移って来ることになり、グリフィンの焦りは増していく。
そんな折、「ライターなんか、いなくていいだろ。」「俺たちで話考えて、客にモニタリングさせて、気に入るようにつくり変えていけばいい」は葬式で知り合ったケヘインの恋人で画家のジューンのもとを訪れる。
彼女との会話に安らぎを覚えたグリフィンは、彼女をスタジオのパーティに招待し、2人はやがて恋人同士となった。
続いてグリフィンは、ヒットの見込みのない脚本をリーヴィーにつかませて罠に陥れることに成功する。
全てがうまくいこうかという時、事件の夜の目撃者が現れた。


寸評
この映画はハリウッドの映画製作の内幕をからませながら殺人事件を描くサスペンスと言えるのだが、最後になってこれは風刺劇なのだと悟る小気味よい作品である。
主人公は映画会社の重役で、「シナリオの大筋をきいたり脚本を読んだりして、映画化にGOサインを出すかどうかを決定すること」を仕事としている。
彼によると1日に125本の電話がかかってきて、年間5万本の企画のうち映画化できるのはたったの12本らしい。
逆に言えば脚本家にNOというのが彼の仕事でもあり、描かれているように脚本家から恨みを買いやすい職種でもある。

ハリウッドの内幕ものだけに実際の作品名やら俳優名がばんばん飛び出す。
脅迫者が「サンセット大通り」の登場人物で殺される脚本家の名前を名乗るなどのも散りばめられている。
おまけに本人役でスターが一瞬ながら大挙出演しているのにも驚かされる。
ハリー・ベラフォンテ、ロッド・スタイガー、ジャック・レモンをはじめ20人は出ていただろう。
ヒッチコックやエリザベス・テイラーの写真も出てくる。
極めつけは試写上映されている作品のラストシーンで登場するジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスだ。
映画界を茶化すような会話が随所で語られる。
マルコム・マクダウェル本人が出てきて「悪口を言うときは面と向かって言え、君たちは汚い」と言い放つ。
制作者は陰で俳優の悪口を言っているのは日常茶飯事なのだろう。
役員会議では「ライターなんか、いなくていいだろ。俺たちで話を考えて、客にモニタリングさせて、客が気に入るようにつくり変えていけばいい」と発言するものがおり、ウケさえすればそれでいいという姿勢を皮肉っている。

途中から全くの喜劇に代わっていくのだが、その転換ぶりが見事と言える。
グロフィンが殺したのは脅迫者ではなく、真の脅迫者らしい男が出てくる。
その男の正体が判明する頃迄はサスペンスの雰囲気があるが、そこから後は一転する。
グリフィンの取り調べをおこなう女性刑事の生理用品を巡るバカ騒ぎに端を発し、
殺人容疑の結末が出る描き方、グリフィンの元恋人のボニーの顛末は普通の作品ではありえない描き方だし、ラストシーンに僕は思わず苦笑いを浮かべるしかなかった。
スターを見つける楽しみだけでは終わらない極上のエンタメ作品となっている。


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