おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ガメラ2 レギオン襲来

2019-03-25 14:57:24 | 映画
「ガメラ2 レギオン襲来」 1996年 日本


監督 金子修介
出演 永島敏行 水野美紀 石橋保 吹越満
   藤谷文子 川津祐介 沖田浩之
   田口トモロヲ 大河内浩 梶原善
   養老孟司 徳間康快 福留功男
   螢雪次朗 長谷川初範 渡辺裕之
   ラサール石井 角替和枝 ベンガル

ストーリー
突如地球に降り注ぐ流星雨。
だが北海道支笏湖付近に墜落した隕石はクレーターだけを残しその形跡を消していた。
生物汚染を危惧する自衛隊化学学校の渡良瀬と花谷は追跡調査を続けるが、工場から大量の瓶が消失している事件に遭遇する。
何かが支笏湖から札幌に向かって移動しているらしい。
その時、地下鉄構内で巨大な昆虫によって乗客が襲われる事件が発生それが、隕石に付着していた宇宙からの生命体である事が判明し、時同じくして付近のビルの中から巨大な花が出現した。
群れ成すものを意味するレギオンと名付けられた昆虫を一掃する爆破作戦が開始されたのだが・・・。


寸評
今回ガメラと戦う新怪獣の名はレギオン。
シリコンを活力源に巨大草体と共生しながら爆発的に繁殖してゆく宇宙生物だ。
本作はガメラとレギオンの戦いを描いているが、レギオンとは何かを解明することに時間が費やされている。
レギオンは働きバチのような小型レギオンたちと女王バチのような巨大レギオンと彼らが共生関係にある草体をひとくくりにした生態系そのものと言える。
地球の生態系を壊そうとするレギオンを地球の守り神ともいえるガメラは許さない。
それは環境破壊を通じて地球の生態系を壊しているかもしれない我々への警告でもある。
ラストで穂波碧の水野美紀がそのことを指摘し、我々がガメラと戦うことになったら嫌ですねといったようなことを述べているのがその証だ。

本作が素晴らしいのは、絵空事ながらも理論理屈があって劇中できれいに説明されていくことだ。
あたかもジグソーパズルのピースがピタリとはまっていくような爽快感がある。
レギオンが北海道を飛び去った後、穂波(水野美紀)の部屋に渡良瀬(永島敏行)と帯津(吹越満)が集まって以下のような会話を繰り広げる。
「レギオンの体組織が半導体にそっくり」 → 「半導体はシリコンで出来ている」 → 「シリコンは土を分解して生成」 → 「その過程で酸素が発生する」 → 「レギオンは酸素を発生させることで草体を育て、同時に地球の生態系を狂わせるつもりか」 → 「シリコンをエサにしているからレギオンの体は半導体みたいな組織に進化したのだろう」 → 「この体の構造だと、レギオンは電磁波でコミュニケーションしているのかも」 → 「だから電磁波の強い場所を狙って攻撃してくるのか」 → 「もしそうなら、レギオンは大都市を目指す可能性が高い」
う~ん、なるほどと納得させられてしまうのだ。
冒頭でのキリンビールの倉庫でビール瓶が食べられ、地下鉄で襲われた人のメガネのレンズがない理由も説明されることとなる。

導入部で謎が示され、地下鉄で異変が起きる。
地下鉄での出来事は的確に描かれ、それからの展開は実にスピーディだ。
ストップモーションなども挟みながら話を進めていく。
そして今回も自衛隊の協力で本物の兵器が登場していて、レギオンを迎撃するための動きにリアリティがある。
自衛隊の基地内に電話ボックスや道路標識を設置して市街地を作り出し、戦車を走行させる凝りようだ。
輸送ヘリなども本物だけに状況が生々しく、臨場感バツグンである。

僕たちはガメラが人類を守る味方だと知っているが、自衛隊はそのことを信じていない。
やがて自衛隊の指揮官も、ガメラが自分たちと同じようにレギオンの進撃を食い止めていることに気付く。
そしてガメラ、自衛隊、穂波や帯津などの民間人が協力して、地球の生態系を守るための戦いをすることとなり、自分たちが阻止できなかったレギオンをガメラが退治し去っていくというヒーローものとなっている。
実に上手い組み立てだ。
特撮技術もパワーアップし、日本映画における怪獣映画の金字塔の一つだろう。


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