おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ガメラ 大怪獣空中決戦

2019-03-24 09:53:35 | 映画
「ガメラ 大怪獣空中決戦」 1995年 日本


監督 金子修介
出演 藤谷文子 小野寺昭 中山忍 伊原剛志
   本田博太郎 螢雪次朗 長谷川初範
   本郷功次郎 久保明 渡辺裕之
   松尾貴史 袴田吉彦 夏木ゆたか

ストーリー
プルトニウム輸送船「海竜丸」の警護にあたっていた海上保安庁の巡視船に、「海竜丸」が座礁したとの連絡が入ったが、環礁はまもなくまるで生き物のように「海竜丸」から離れて行った。
その頃、福岡市の動物園に勤める鳥類学者・真弓が五島列島の姫神島で見たものは、巨大な鳥によって破壊しつくされた島の変わり果てた姿だった。
その後の調査により、人を食糧としている巨大な謎の鳥型生物3匹が生息していることが判明。
事態を重く見た内閣は鳥を捕獲することを決定した。
一方、「海竜丸」の座礁事件の謎を追う保安庁の米森は、海上保険会社の草薙を頼って調査船に乗り込む。
太平洋上で環礁を発見し上陸した米森たちは、不思議な金属片と、碑文の書かれた大きな石碑を見つける。
その瞬間、環礁は再び生き物のように動き出し、海中に投げ出された米森は海中で環礁の正体が巨大な亀の形をした生物だと知った。
巨大鳥捕獲のためにかりだされた真弓は、福岡ドームに罠を仕掛け、鳥の飛来を待った。
3匹の鳥はドーム内の餌に食らいつき、まんまと作戦に嵌まったように見えたのだったが、狙撃隊の発砲が一瞬早かったために鳥が暴れ出し、ドーム内はパニックに陥る。
そこへ、あの環礁と思われていた生物が正体を現して飛来して来た。
亀の恰好をしたその巨大生物は、鳥の1匹を殺すと、逃げて行く他の2匹を追って、ジェット噴射を噴き出して空の彼方へ消えた・・・。


寸評
いわゆる怪獣映画だが、従来の子供向け怪獣バトルだけではない大人も楽しめる怪獣映画となっている。
自衛隊のバックアップは怪獣への攻撃にリアリティを生み出している。
ワイドショーの本物アナウンサーによるマスコミ報道などの対応描写も臨場感がある。
斬新なイメージとそれを映像化したハリウッドとは違う日本映画お得意の特撮も見応えがある。
東宝に「ゴジラ」があれば、大映には「ガメラ」があると言われていたガメラシリーズが大変身したという感じ。
僕は監督の金子修介、特撮監督の樋口真嗣、脚本の伊藤和典、音楽の大谷幸に拍手を贈る。

ゴジラが水爆実験の産物だったのに対し、ここでのガメラは古代文明人によって誕生させられたとなっている。
伝説の大陸アトランティスにいた古代文明人が、遺伝子の操作によって自らが誕生させたギャオスによって滅亡の危機に遭い、さらにその手から逃れるためにガメラを誕生させたというのだ。
「古代人も厄介なものを残してくれたもんだ」という会話があるが、冒頭で輸送船が運んでいたものはプルトニウムだったことは意図したものだろう。
放射性物質のプルトニウム239の半減期は24,000年で、この処理方法が確立されておらず密閉して地中深くに埋めると言う手立てが取られている。
それを発見した未来人から、古代人は厄介なものを残してくれたもんだと言われないか?
そんなものを生み出す原発は果たして存続していてよいのか?
そんなことを問われているような気がする。

「ガメラ 大怪獣空中決戦」は1995年の製作である。
ところが2011年3月11日に東日本大震災が発生し、津波に襲われた東京電力福島第一原子力発電所は、1-5号機で全交流電源を喪失し、原子炉を冷却できなくなり、1号炉・2号炉・3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展し、この後始末には何十年も要することが判明。
今、再見すると、「ガメラ 大怪獣空中決戦」での会話には絵空事ではない現実のものとして切実なものを感じるようになったし、厄介なものとはギャオスではなく、プルトニウムなのだと思えてくる。
ガメラに攻撃命令を出していた本田博太郎の環境庁審議官が、ギャオスを制御できなくなってガメラに期待すると言い出し、それに対し中山忍の真弓が身勝手だと言い返すのだが、これなども官僚の横暴さを感じさせるシーンとなっていて、秘かに官僚に代表される権力批判もおこなっていたと思う。

草薙の娘・浅黄がガメラと心が通じてしまい、ガメラと同じような状態に陥るのは勾玉の力だとするのはも、ストーリー的には違和感がなく、脚本的にも怪獣物としてよくできている。
子供を助けるシーンもあって、ガメラは人類を守る正義の味方なのだ。
子供だましだった怪獣映画にとって「ガメラ 大怪獣空中決戦」は正に奇跡的作品である。
だが奇跡はこれだけでは終わらなかった。
その奇跡は続編「ガメラ2 レギオン襲来」でも起きることとなる。
藤谷文子の浅黄が言うように、人類が危機に陥った時にガメラはやって来るのである。
これを正義の味方と言わずして何というのだろう。 お見事!


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