おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ALWAYS 三丁目の夕日'64

2022-04-20 08:45:51 | 映画
「ALWAYS 三丁目の夕日'64」 2011年 日本


監督 山崎貴
出演 吉岡秀隆 堤真一 小雪 堀北真希
   薬師丸ひろ子 もたいまさこ 三浦友和
   須賀健太 小清水一揮 染谷将太 マギー
   温水洋一 神戸浩 ピエール瀧 正司照枝
   森山未來 大森南朋 高畑淳子 米倉斉加年

ストーリー
昭和39年(1964年)。
オリンピック開催を控えた東京は、ビルや高速道路の建築ラッシュとなり、熱気に満ち溢れていた。
そんな中、東京下町の夕日町三丁目で、ヒロミと結婚した小説家の茶川竜之介は、高校生になった古行淳之介と3人で仲良く生活している。
茶川商店の一角は改装され、ヒロミがおかみを務める居酒屋「新山藤」となった。
ヒロミは身重で、もうすぐ家族が一人増える様子。
茶川は「冒険少年ブック」の看板作家として連載を続けているが、最近は新人小説家の作品に人気を奪われつつあった。
編集者の富岡から「もっと新しい雰囲気で」と言われ、茶川はますますスランプに陥っていく。
一方、鈴木則文とその妻・トモエ、一人息子の一平、住み込みで働く星野六子が暮らす鈴木オートは、順調に事業を拡大し、店構えも立派になった。
六子にも後輩の従業員ができ、厳しく指導をする姿はすっかり一人前。
彼女無しでは鈴木オートの仕事は回らないほどであった。
そんな六子は、毎朝おめかしをして家を出て行く。
それは、通勤途中の医者・菊池孝太郎とすれ違い、朝の挨拶をかわすためだった。
六子のほのかな恋心を温かく見守るのは、大田キン。
そして小児科医・宅間史郎は、今日も町の人のために診療を続けている。
そんな折、茶川が隠していた、とある電報をヒロミが見つけてしまう……。


寸評
毎回お定まりのストーリーと音楽、同じセットで同じお客さんを泣かせるプログラムピクチャーであるが、経済成長を目指す日本にあって、それらとは無縁のように家族の生活を良くしようと頑張ってはいるものの、人を追い落としてまで無理な出世をしようとか、金を稼ごうなどということは考えない人々の交流にノスタルジーと感動を覚えるし、
僕たちの世代の者にとっては、みんなでテレビを見に隣の家に行ったりしていた昭和が懐かしく思い出される。
1964年は東京オリンピックの年で、僕は中学三年生だった。
VFXを駆使した昭和の景色も懐かしい。

3作目となった今回はエピソードがてんこ盛りで、もう少し整理すればよかったのにと思ってしまう。
今回は六ちゃん(堀北真希)の恋と結婚が描かれる。
青森の両親を差し置いて、自分の娘のようにやきもきする鈴木夫妻(堤真一、薬師丸ひろ子)の姿が微笑ましい。
茶川(吉岡秀隆)はスランプで、匿名作家として人気を得ている淳之介(須賀健太)との確執も描かれる。
親子の確執は茶川と父親(米倉斉加年)にもあったのだが、父親の影ながらの応援に涙してしまう。
茶川竜之介と父親、茶川竜之介と淳之介、鈴木則文と六子と、今回は親子関係にも焦点が当たっている。
淳之介も六子も実の子供ではない。
しかし鈴木オートも茶川も、二人を実の子供以上に気に掛けているのである。
二組の親子を別々の視点で見ながら、愛情を紡いでいく展開が感動を呼ぶ。
茶川は父親が気持ちを押し殺して自分にしてくれたことを淳之介に対して行う。
茶川と父親の確執が、茶川と淳之介の確執を溶かしてゆく変化が巧みだ。

六子はやけどの治療をしてもらったことから、外科医の菊池(森山未來)に恋い焦がれる。
ところが、菊池は女遊びがひどくてヤクザともつきあっているようだとのウワサがある。
その噂を気に掛けながらも六子を応援するキン(もたいまさこ)やヒロミ(小雪)もおなじみのメンバーである。
すったもんだがありながらも六子と菊池は結婚し、初代の新幹線「こだま」に乗って新婚旅行に旅立っていく。
六子の服装が懐かしい。
今ではすっかりラフな服装で出かけるのが当たり前となった新婚旅行だが、当時の新婚旅行は国内がメインで、しかも服装はまるでパーティにでも行くのかと思われるようなものだったのだ。

64年のオリンピック、70年の万博を経ながら、日本は猛スピードで経済成長を続けていく。
誰もが電化製品に代表される文化的な生活を目指し、人よりも抜きん出ようと競争社会に突入していった時代でもある。
宅間先生(三浦友和)が言うように「人の幸せって何だろう?」と思わせる三丁目の人々なのだが、日本人が本当にそのことを考え出すのはずっと後のことである。
淳之介は巣立っていく、一平(小清水一揮)は六ちゃんの後輩ケンジ(染谷将太)と夢を語り合う。
茶川とヒロミの間には女の子が生まれた。
菊池と六子は地域医療に貢献していきそうだ。
夢と希望があった戦後の昭和時代である。