「フォーン・ブース」 2002年 アメリカ
監督 ジョエル・シューマカー
出演 コリン・ファレル
フォレスト・ウィテカー
ラダ・ミッチェル
ケイティ・ホームズ
キーファー・サザーランド
ストーリー
スチュ(コリン・ファレル)はいかなる状況も口先一つで乗り切ってきた自称やり手のパブリシストであった。
傲慢で嘘をつくことを何とも思わない彼は、アシスタントと別れたあと、ニューヨーク8番街53丁目に残る最後の電話ボックスに入り、結婚指輪を外してクライアントの新進女優パメラ(ケイティ・ホームズ)に電話をかける。
しかしスチュが受話器を置いて外に出た途端にベルが鳴り、彼は思わず受話器を取った。
すると電話の発信者(キーファー・サザーランド)はなぜかスチュの私生活を熟知しており、どこかからかライフルで狙いつつ、言うことを聞かなければ殺すと脅迫する。
やがて、その公衆電話をめぐってスチュといざこざを起こした娼婦の用心棒が射殺される。
スチュが殺したとわめき散らす娼婦たち。
まもなく警察がボックスを包囲し、レイミー警部(フォレスト・ウィティカー)がスチュに電話を切るよう説得する。
そしてパメラと、妻のケリー(ラダ・ミッチェル)も現場にやってくる。
電話の男は警察の言うことを聞かないように、自分の事も言わないように促したが、今や銃を持っていると確信している警官にいつ撃ち殺されても不思議ではない状況におちいっていた。
やがて電話の声に命じられるまま、スチュは浮気心を持ったことなどを公衆の面前で懺悔する。
そして自分を撃つようにとボックスの外に飛び出すが、先に警察にゴム弾で撃たれて倒れたため、助かった。
犯人は、警察が現場に踏み込む前に自殺。
しかしその遺体は、前にスチュが手荒く扱ったピザの配達人であり、真犯人である電話の発信者は、静かに現場を去っていくのであった。
寸評
スチュが口から出まかせの売り込みを行ったり、レストランの予約を行ってアシスタントと別れ、電話ボックスから下心を持っているパメラに電話を掛ける。
調子のいい芸能関係者と思われるこの男は、この後電話ボックスから出ることはない。
ただただ姿の見えない電話相手との会話が描かれるだけなのに滅茶苦茶スリリングだ。
映画の中と実際の時間の経過がシンクロするつくりになっているこの脚本はスゴイ!
電話ボックスという制約だらけのちっぽけな舞台で、これでもかというくらい、たくさんのアイデアをつめこんだ一級のサスペンスとなっている。
映画が始まると、主人公の性格や社会的背景が短時間で簡潔に説明されて、物語はすぐに電話ボックスの悲劇に移っていき、そこから先は一瞬も目が離せないのだ。
どこからかライフルで狙い、「電話を切ったら撃つ」と言う犯人の目的はさっぱりわからない。
さっさと電話を切って出ていけばいいではないかと思うのだが、犯人はそうはさせない手段を持っている。
観客はこの時点でスチュと一体化している。
僕たちが想像できる手段で脱出しようとするから、脱出劇に観客も参加させることを目論んでいるようにさえ思えてくる。
事件をリアルタイムで進めていくので、そのシーンが描かれるタイミングがグッドだ。
僕たちがこうすればいいかもと想像しだしたところで、その行動が描かれるから臨場感が自然と湧いてくる。
スチュは娼婦たちの用心棒らしき男の怒りもかってしまう。
男が暴力的な態度に出ると電話の男は何度も「助けようか?」と聞いてくるのだがスチュは「結構」と答える。
殴られながらも受話器を離さないスチュに電話の男は再度「やめさせようか?」と聞いてきたところ、スチュは思わず「イエス」と答えてしまう。
直後に男はうめき声をあげながらのけ反り地面に倒れ絶命してしまうのだが、この非情性がスチュに恐怖心を植え付ける。
スチュはチャランポランな男の様であるが、正義の心は持っている。
警官などに照準器のレーザー光が当たると必死で射撃をやめさせる。
狙われている人間は自分に照準器のレーザー光が当たっていることに気がつかない。
犯人は警官に暴言を吐くように求めたり無理難題を要求してくるが、それを拒絶しながらも従わざるを得ないスチュの焦りがひしひしと伝わってくる。
妻のケリーが駆けつけ、ニュースを見たパメラもやって来て、ドラマはますます盛り上がっていく。
弁護士を使ったやり取りがスリリングに行われるうちに犯人の居場所がわかり、事件解決と思いきや・・・。
ここに至って、スキのない脚本が最後の一撃をくらわす。
上手い!
僕も正直に生き、謙虚に過ごさねばならない。
監督 ジョエル・シューマカー
出演 コリン・ファレル
フォレスト・ウィテカー
ラダ・ミッチェル
ケイティ・ホームズ
キーファー・サザーランド
ストーリー
スチュ(コリン・ファレル)はいかなる状況も口先一つで乗り切ってきた自称やり手のパブリシストであった。
傲慢で嘘をつくことを何とも思わない彼は、アシスタントと別れたあと、ニューヨーク8番街53丁目に残る最後の電話ボックスに入り、結婚指輪を外してクライアントの新進女優パメラ(ケイティ・ホームズ)に電話をかける。
しかしスチュが受話器を置いて外に出た途端にベルが鳴り、彼は思わず受話器を取った。
すると電話の発信者(キーファー・サザーランド)はなぜかスチュの私生活を熟知しており、どこかからかライフルで狙いつつ、言うことを聞かなければ殺すと脅迫する。
やがて、その公衆電話をめぐってスチュといざこざを起こした娼婦の用心棒が射殺される。
スチュが殺したとわめき散らす娼婦たち。
まもなく警察がボックスを包囲し、レイミー警部(フォレスト・ウィティカー)がスチュに電話を切るよう説得する。
そしてパメラと、妻のケリー(ラダ・ミッチェル)も現場にやってくる。
電話の男は警察の言うことを聞かないように、自分の事も言わないように促したが、今や銃を持っていると確信している警官にいつ撃ち殺されても不思議ではない状況におちいっていた。
やがて電話の声に命じられるまま、スチュは浮気心を持ったことなどを公衆の面前で懺悔する。
そして自分を撃つようにとボックスの外に飛び出すが、先に警察にゴム弾で撃たれて倒れたため、助かった。
犯人は、警察が現場に踏み込む前に自殺。
しかしその遺体は、前にスチュが手荒く扱ったピザの配達人であり、真犯人である電話の発信者は、静かに現場を去っていくのであった。
寸評
スチュが口から出まかせの売り込みを行ったり、レストランの予約を行ってアシスタントと別れ、電話ボックスから下心を持っているパメラに電話を掛ける。
調子のいい芸能関係者と思われるこの男は、この後電話ボックスから出ることはない。
ただただ姿の見えない電話相手との会話が描かれるだけなのに滅茶苦茶スリリングだ。
映画の中と実際の時間の経過がシンクロするつくりになっているこの脚本はスゴイ!
電話ボックスという制約だらけのちっぽけな舞台で、これでもかというくらい、たくさんのアイデアをつめこんだ一級のサスペンスとなっている。
映画が始まると、主人公の性格や社会的背景が短時間で簡潔に説明されて、物語はすぐに電話ボックスの悲劇に移っていき、そこから先は一瞬も目が離せないのだ。
どこからかライフルで狙い、「電話を切ったら撃つ」と言う犯人の目的はさっぱりわからない。
さっさと電話を切って出ていけばいいではないかと思うのだが、犯人はそうはさせない手段を持っている。
観客はこの時点でスチュと一体化している。
僕たちが想像できる手段で脱出しようとするから、脱出劇に観客も参加させることを目論んでいるようにさえ思えてくる。
事件をリアルタイムで進めていくので、そのシーンが描かれるタイミングがグッドだ。
僕たちがこうすればいいかもと想像しだしたところで、その行動が描かれるから臨場感が自然と湧いてくる。
スチュは娼婦たちの用心棒らしき男の怒りもかってしまう。
男が暴力的な態度に出ると電話の男は何度も「助けようか?」と聞いてくるのだがスチュは「結構」と答える。
殴られながらも受話器を離さないスチュに電話の男は再度「やめさせようか?」と聞いてきたところ、スチュは思わず「イエス」と答えてしまう。
直後に男はうめき声をあげながらのけ反り地面に倒れ絶命してしまうのだが、この非情性がスチュに恐怖心を植え付ける。
スチュはチャランポランな男の様であるが、正義の心は持っている。
警官などに照準器のレーザー光が当たると必死で射撃をやめさせる。
狙われている人間は自分に照準器のレーザー光が当たっていることに気がつかない。
犯人は警官に暴言を吐くように求めたり無理難題を要求してくるが、それを拒絶しながらも従わざるを得ないスチュの焦りがひしひしと伝わってくる。
妻のケリーが駆けつけ、ニュースを見たパメラもやって来て、ドラマはますます盛り上がっていく。
弁護士を使ったやり取りがスリリングに行われるうちに犯人の居場所がわかり、事件解決と思いきや・・・。
ここに至って、スキのない脚本が最後の一撃をくらわす。
上手い!
僕も正直に生き、謙虚に過ごさねばならない。