「ピンポン」 2002年 日本
監督 曽利文彦
出演 窪塚洋介 ARATA サム・リー
中村獅童 大倉孝二 松尾スズキ
荒川良々 津田寛治 山下真司
石野真子 夏木マリ 竹中直人
ストーリー
卓球をこよなく愛し、勝つことへの絶対的な自信を持ちながら天真爛漫で気分屋のペコ(窪塚洋介)と、常に彼の背後に隠れ、「卓球は死ぬまでの暇潰し」と公言するクールで笑わないスマイル(ARATA)。
二人は幼なじみで、小さい頃から近所にある卓球場、タムラに通っていた。
高校生になった二人は共に片瀬高校の卓球部員に属していたものの練習にはまともに参加しない毎日を送っていて、ペコはオババ(夏木マリ)の経営するタムラ卓球場で賭けピンポンをしていた。
そんな二人が対戦すると必ずペコが優位に立つ。
ふたりは、夏のインターハイ地区予選大会に出場する。
スマイルは、辻堂学院高校に中国から留学してきたチャイナ(サム・リー)と接戦の末に敗れる。
ペコは、やはり幼なじみで名門・海王学園に進んだアクマ(大倉孝二)に、まさかの敗退。
その時、日本卓球界の星と期待された過去を持つ卓球部顧問の小泉(竹中直人)に卓球の天賦の才能を見出されたスマイルは、小泉の指導の下、めきめきとその頭角を現わしていく。
インターハイチャンピオンの海王学園のドラゴン(中村獅童)が一目置くスマイルに勝つことによってプライドを保とうとしたアクマはあっけなくスマイルに負け、荒れたアクマはその夜チンピラと喧嘩して退学となってしまう。
一方、アクマに敗れスマイルの変貌を目の当たりにして腐っていたペコだが、アクマに続けろと言われて目が覚め、ホームグラウンドである卓球場タムラの主人・オババの特訓を受け徐々に自信を取り戻してゆく。
そして二度目の夏、ペコはチャイナに勝ち、強敵ドラゴンも破り、決勝戦の相手はスマイルだった。
数年後、予選大会で2位だったスマイルは社会人となり、優勝したペコは今や日本代表として世界と戦っていた。
寸評
際立ったキャラクターが画面を圧倒する。
主人公ペコの窪塚洋介もさることながら、オババの夏木マリが強烈なキャラを示し、さらにその上を行くのが映画初出演となるドラゴンの中村獅童である。
ドラゴンはインターハイチャンピオンの実力者だが、才能の壁に苦しむことになるペコの強力なライバルである。
丸坊主にして鋭い眼光を放つ中村獅童がいて、軽いキャラのペコ窪塚洋介が引き立っていた。
小さいころからの卓球仲間であったアクマがプライドをかけて戦ったスマイルに敗れ、「オレはお前の何十倍も努力したよ!何でオレじゃねえんだよ!」と叫ぶ。
それを聞いてスマイルは「君に卓球の才能が無いからだよ」と残酷に言い放つ。
作中ではヒーローというキーワードと、才能というキーワードが度々使われる。
コミックが原作だけに漫画的に描かれているが、「ピンポン」は紛れもなく才能豊かなヒーローが活躍するスポーツ映画である。
日本映画におけるスポーツ映画と言えば圧倒的に野球を題材にした作品が多いが、マイナースポーツである卓球を題材にしているだけでもユニークな作品となっている。
冒頭のペコが橋から飛び降りるシーンから始まるのだが、飛び降りたペコが空中で静止した瞬間にカメラがグルっと180度回り込みながら、一気に上空まで引き上げられていく。
このCG画面が予告していたかのように、その後もCG画面が観客を圧倒していく。
冒頭のこのシーンは後半でも登場し、ペコの行動の意味が明らかとなる。
ペコは月にタッチできるぜと言ってジャンプする。
これはスマイルと戦える喜びの表現だったのだと分かる。
ペコの名前は星野裕でラケットに星のマークを書いている。
スマイルは月本誠といい、ラケットには三日月のマークを書いているのである。
高くジャンプするという単純な叫びではなく、月本に向かっていくぞとの決意表明でもあったのだ。
試合会場にやってきたアクマは、久しぶりにドラゴンと会話を交わす。
「風間さんは、誰の為に卓球をやってるんですか?」
必ず勝つ事を宿命付けられたドラゴンにとって、卓球はもはや苦痛でしかなかったことを知ってしまったアクマは静かにその場を立ち去り、駆け寄ってきた彼女に一言、「来るな!少し、泣く…」。
いいシーンだなあ~。
ペコにとってスマイルは、幼馴染みであり、ライバルであり、掛け替えの無い友人であり、スマイルにとってペコは、唯一無二の“永遠のヒーロー”であり続けたのだ。
久しぶりに試合会場で再会した二人の会話は短く、ペコが「いくぜ、相棒!」と言えば、スマイルが「お帰り、ヒーロー」と言うだけで、まさに青春スポーツドラマだ。
ちなみに社会人となったスマイルが卓球場で指導しているのは少年の頃の染谷将太である。
監督 曽利文彦
出演 窪塚洋介 ARATA サム・リー
中村獅童 大倉孝二 松尾スズキ
荒川良々 津田寛治 山下真司
石野真子 夏木マリ 竹中直人
ストーリー
卓球をこよなく愛し、勝つことへの絶対的な自信を持ちながら天真爛漫で気分屋のペコ(窪塚洋介)と、常に彼の背後に隠れ、「卓球は死ぬまでの暇潰し」と公言するクールで笑わないスマイル(ARATA)。
二人は幼なじみで、小さい頃から近所にある卓球場、タムラに通っていた。
高校生になった二人は共に片瀬高校の卓球部員に属していたものの練習にはまともに参加しない毎日を送っていて、ペコはオババ(夏木マリ)の経営するタムラ卓球場で賭けピンポンをしていた。
そんな二人が対戦すると必ずペコが優位に立つ。
ふたりは、夏のインターハイ地区予選大会に出場する。
スマイルは、辻堂学院高校に中国から留学してきたチャイナ(サム・リー)と接戦の末に敗れる。
ペコは、やはり幼なじみで名門・海王学園に進んだアクマ(大倉孝二)に、まさかの敗退。
その時、日本卓球界の星と期待された過去を持つ卓球部顧問の小泉(竹中直人)に卓球の天賦の才能を見出されたスマイルは、小泉の指導の下、めきめきとその頭角を現わしていく。
インターハイチャンピオンの海王学園のドラゴン(中村獅童)が一目置くスマイルに勝つことによってプライドを保とうとしたアクマはあっけなくスマイルに負け、荒れたアクマはその夜チンピラと喧嘩して退学となってしまう。
一方、アクマに敗れスマイルの変貌を目の当たりにして腐っていたペコだが、アクマに続けろと言われて目が覚め、ホームグラウンドである卓球場タムラの主人・オババの特訓を受け徐々に自信を取り戻してゆく。
そして二度目の夏、ペコはチャイナに勝ち、強敵ドラゴンも破り、決勝戦の相手はスマイルだった。
数年後、予選大会で2位だったスマイルは社会人となり、優勝したペコは今や日本代表として世界と戦っていた。
寸評
際立ったキャラクターが画面を圧倒する。
主人公ペコの窪塚洋介もさることながら、オババの夏木マリが強烈なキャラを示し、さらにその上を行くのが映画初出演となるドラゴンの中村獅童である。
ドラゴンはインターハイチャンピオンの実力者だが、才能の壁に苦しむことになるペコの強力なライバルである。
丸坊主にして鋭い眼光を放つ中村獅童がいて、軽いキャラのペコ窪塚洋介が引き立っていた。
小さいころからの卓球仲間であったアクマがプライドをかけて戦ったスマイルに敗れ、「オレはお前の何十倍も努力したよ!何でオレじゃねえんだよ!」と叫ぶ。
それを聞いてスマイルは「君に卓球の才能が無いからだよ」と残酷に言い放つ。
作中ではヒーローというキーワードと、才能というキーワードが度々使われる。
コミックが原作だけに漫画的に描かれているが、「ピンポン」は紛れもなく才能豊かなヒーローが活躍するスポーツ映画である。
日本映画におけるスポーツ映画と言えば圧倒的に野球を題材にした作品が多いが、マイナースポーツである卓球を題材にしているだけでもユニークな作品となっている。
冒頭のペコが橋から飛び降りるシーンから始まるのだが、飛び降りたペコが空中で静止した瞬間にカメラがグルっと180度回り込みながら、一気に上空まで引き上げられていく。
このCG画面が予告していたかのように、その後もCG画面が観客を圧倒していく。
冒頭のこのシーンは後半でも登場し、ペコの行動の意味が明らかとなる。
ペコは月にタッチできるぜと言ってジャンプする。
これはスマイルと戦える喜びの表現だったのだと分かる。
ペコの名前は星野裕でラケットに星のマークを書いている。
スマイルは月本誠といい、ラケットには三日月のマークを書いているのである。
高くジャンプするという単純な叫びではなく、月本に向かっていくぞとの決意表明でもあったのだ。
試合会場にやってきたアクマは、久しぶりにドラゴンと会話を交わす。
「風間さんは、誰の為に卓球をやってるんですか?」
必ず勝つ事を宿命付けられたドラゴンにとって、卓球はもはや苦痛でしかなかったことを知ってしまったアクマは静かにその場を立ち去り、駆け寄ってきた彼女に一言、「来るな!少し、泣く…」。
いいシーンだなあ~。
ペコにとってスマイルは、幼馴染みであり、ライバルであり、掛け替えの無い友人であり、スマイルにとってペコは、唯一無二の“永遠のヒーロー”であり続けたのだ。
久しぶりに試合会場で再会した二人の会話は短く、ペコが「いくぜ、相棒!」と言えば、スマイルが「お帰り、ヒーロー」と言うだけで、まさに青春スポーツドラマだ。
ちなみに社会人となったスマイルが卓球場で指導しているのは少年の頃の染谷将太である。