ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

拉致問題と米朝首脳再会談

2019-02-22 14:13:08 | 日記
ベトナムでの米朝首脳再会談をひかえ、我が安倍首相がトランプ米大統領と電話会談を行った。きょうは3紙が社説でこのトピックを取りあげている。

読売新聞《日米電話会談 北への安易な妥協は許されぬ》
毎日新聞《日米首脳が電話協議 共通認識があるか不安だ》
産経新聞《日米電話会談 拉致の解決に結びつけよ》

どの新聞も、対北の懸案として拉致問題の重要性を主張する点では変わりがない。だが、産経新聞の社説だけは、読んでいて腹が立った。この新聞は、こんなふうに書いている。

(再会談の折に)金正恩氏に直接伝達してもらいたいのは、かねて安倍首相が述べてきた「拉致問題の解決なしに北朝鮮は未来を描けない」ということに尽きる。具体的には、拉致被害者全員の帰国なしに日本は動かない、ということだ。

これではまるで、拉致問題が日本にとってのアルファであり、オメガであるような書きぶりではないか。日本にとっての懸案は、だがそれだけではない。核とミサイルの問題をゆるがせにはできないはずだが、この安倍ヨイショ新聞は、なぜかこの重要問題を無視し、蔑ろにするのである(*「蔑(ないがし)ろ」とは、あっても無いかのように侮り軽んずるさま)。

「この新聞は、なぜかこの重要問題を無視し」と書いたが、その理由ははっきりしている。産経のスタンスは、安倍政権のそれにほかならないからである。アメリカは、自国の脅威になる長距離弾道ミサイル(ICBM)の廃棄だけで善しとし、制裁を緩和する心積もりだが、日本にとって重要なのは、中・短距離弾道ミサイルの廃棄であり、この点では日米の立場には大きな相違がある。にもかかわらず安倍首相は、この相違に目をつぶり、日米同盟の協調姿勢を印象づけようとしているのである。

核・ミサイル問題は解決されなくても、拉致問題さえ解決されれば、自分の支持率を維持できると、そう安倍首相は踏んでいるのだろう。産経は、こうした安倍首相の意向を「忖度」して社説を書いているとしか思えない。

拉致問題といえば、先日の本ブログでもふれたように、安倍政権は人気取りのために「非人道的な北朝鮮」と対決する姿勢(ポーズ)をとり、(北朝鮮が伝えてきた)拉致被害者の生存情報を、あえて握りつぶそうとした。このような安倍政権の姑息な情報操作に加担し、拉致被害者の生存情報を隠蔽しようとした、日本の新聞ジャーナリズム。その一角をしめる大手の産経新聞が、今度は「拉致問題の解決が何よりも重要だ」なんて、よく言うよ!ご都合主義の極致と言うほかない。
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