ロ−ウク戦争は3年目に入った。この日、ウクライナのゼレンスキー大統領が記者会見を行い、対ロシア戦の「終わり方」について見解を述べたという。その模様が伝えられたので、さっそく検討することにしたい。
ゼレンスキー大統領は
「戦争がどのように終わるかは、ことしにかかっている。転換の年だ」
と述べたという。この言説の含意を読み解くことが、本ブログのさしあたりの課題になる。
そこで、この言い回しがどのような文脈でなされたかを、以下に抜き出してみよう。
(1)「今後の戦況についてゼレンスキー大統領はロシア軍が5月にも大規模な攻撃を仕掛ける準備を進めているなどとした上で『戦争がどのように終わるかはことしにかかっている。転換の年だ』と述べ、欧米各国が軍事支援を続ける重要性を強調しました。」
(HNK NEWS WEB 2月26日配信)
(2)「ロシアが、北朝鮮やイランから兵器を調達しているとみられることについて『ロシア側にとっても兵器が大きく不足し、ことしが重要な年だということを意味している』と述べました。」
(同前)
つまり、ゼレンスキー大統領は、こう述べようとしているのだ。
(a)ロシアは大幅な兵器不足を見越して、ことしの5月にも乾坤一擲の大規模な攻撃を仕掛けようとしている。だから戦争がどのように終わるかは今年に掛かっており、その意味で、ことしは重要な年になる。
(b)ロシアが大規模な攻撃を仕掛けてくれば、ウクライナはそれに全力で立ち向かうしかない。しかしウクライナ側も目下、兵器不足に悩まされており、現状では敗退が必至の情勢である。これを避けるには、欧米諸国の軍事支援に頼るしかない。
欧米諸国の関係者の皆さん、ウクライナの命運はあなたたちの支援にかかっている。どうぞよろしく。
ニュースはこうも伝えている。
「さらにゼレンスキー大統領は、ウクライナが提唱する『ロシア軍の撤退』などを含む和平案について欧米や新興国などが話し合う首脳級の協議をスイスでこの春に開催したい意向を示しました。
その上でロシアのプーチン大統領を念頭に『彼がこの戦争に負け、間違いだったと受け入れるための枠組みを提唱する』と述べ、ロシアに和平案を受け入れさせるため関係国と連携する考えを示しました。」
(同前)
つまりゼレンスキー大統領は、ロシアとの停戦協議の具体的なプランについて、彼なりの展望を提示しているのだが、これはすべて戦争の勝敗が決着した後の話であり、しかもロシアの敗北を前提にした幻想の大風呂敷だということに注目しなければならない。
どういうことか。ゼレンスキー大統領は今でも「勝負が決着した後でなければ、停戦協議には応じない」という姿勢を崩してはいないのである。では勝負の決着について、ゼレンスキー大統領はどういうリアルな見通しを持っているのか。
勝敗の鍵を握るのはアメリカの軍事支援だが、これについて、彼は「(アメリカが)前向きな決断をしてくれると信じている」と述べるだけで、それ以外には何も語らない。トランプが次期米大統領になったら、アメリカの軍事支援は大幅にカットされるだろう。そうなれば、ウクライナが兵器不足のためにロシアに敗けることは、この頑固一徹の総司令官にもよくわかっているはずだ。
そのことは今回の記者会見だけからもはっきり透けて見える。それが見えないとしたら、それはゼレンスキー一流のレトリックの巧みさのためだろう。もしかしたらゼレンスキーは、自らのレトリックの巧みさに自ら酔ってしまい、それ以外には何も見えなくなってしまっているのではないだろうか。
ゼレンスキー大統領は
「戦争がどのように終わるかは、ことしにかかっている。転換の年だ」
と述べたという。この言説の含意を読み解くことが、本ブログのさしあたりの課題になる。
そこで、この言い回しがどのような文脈でなされたかを、以下に抜き出してみよう。
(1)「今後の戦況についてゼレンスキー大統領はロシア軍が5月にも大規模な攻撃を仕掛ける準備を進めているなどとした上で『戦争がどのように終わるかはことしにかかっている。転換の年だ』と述べ、欧米各国が軍事支援を続ける重要性を強調しました。」
(HNK NEWS WEB 2月26日配信)
(2)「ロシアが、北朝鮮やイランから兵器を調達しているとみられることについて『ロシア側にとっても兵器が大きく不足し、ことしが重要な年だということを意味している』と述べました。」
(同前)
つまり、ゼレンスキー大統領は、こう述べようとしているのだ。
(a)ロシアは大幅な兵器不足を見越して、ことしの5月にも乾坤一擲の大規模な攻撃を仕掛けようとしている。だから戦争がどのように終わるかは今年に掛かっており、その意味で、ことしは重要な年になる。
(b)ロシアが大規模な攻撃を仕掛けてくれば、ウクライナはそれに全力で立ち向かうしかない。しかしウクライナ側も目下、兵器不足に悩まされており、現状では敗退が必至の情勢である。これを避けるには、欧米諸国の軍事支援に頼るしかない。
欧米諸国の関係者の皆さん、ウクライナの命運はあなたたちの支援にかかっている。どうぞよろしく。
ニュースはこうも伝えている。
「さらにゼレンスキー大統領は、ウクライナが提唱する『ロシア軍の撤退』などを含む和平案について欧米や新興国などが話し合う首脳級の協議をスイスでこの春に開催したい意向を示しました。
その上でロシアのプーチン大統領を念頭に『彼がこの戦争に負け、間違いだったと受け入れるための枠組みを提唱する』と述べ、ロシアに和平案を受け入れさせるため関係国と連携する考えを示しました。」
(同前)
つまりゼレンスキー大統領は、ロシアとの停戦協議の具体的なプランについて、彼なりの展望を提示しているのだが、これはすべて戦争の勝敗が決着した後の話であり、しかもロシアの敗北を前提にした幻想の大風呂敷だということに注目しなければならない。
どういうことか。ゼレンスキー大統領は今でも「勝負が決着した後でなければ、停戦協議には応じない」という姿勢を崩してはいないのである。では勝負の決着について、ゼレンスキー大統領はどういうリアルな見通しを持っているのか。
勝敗の鍵を握るのはアメリカの軍事支援だが、これについて、彼は「(アメリカが)前向きな決断をしてくれると信じている」と述べるだけで、それ以外には何も語らない。トランプが次期米大統領になったら、アメリカの軍事支援は大幅にカットされるだろう。そうなれば、ウクライナが兵器不足のためにロシアに敗けることは、この頑固一徹の総司令官にもよくわかっているはずだ。
そのことは今回の記者会見だけからもはっきり透けて見える。それが見えないとしたら、それはゼレンスキー一流のレトリックの巧みさのためだろう。もしかしたらゼレンスキーは、自らのレトリックの巧みさに自ら酔ってしまい、それ以外には何も見えなくなってしまっているのではないだろうか。