7/12(月) 曇り
なぜ山に登るのか、それはなぜ仕事をするのかと言う問いと同じである、その答えは美味しいビールを飲むためなのだ。
旭川の空港に降り立ったのは再び東京に緊急事態宣言が発令される前日であった。
空港建物を出るとリスと思われるご当地キャラのあさっぴーが鎮座していた。右手に掲げるのは旭川ラーメンに違いない。
間違いがあってはいけないのであさっぴーについてネットで調べてみるとゴマフアザラシの男の子が憧れのホッキョクグマの姿に変身したとのこと。調べてよかった。
旭川空港からバスに揺られること1時間弱、旭岳温泉に到着だ。バスを降りて数分、登山者のオアシスである大雪山山荘に投宿した。
一夜明け、朝ご飯をお代わりし大雪山山荘を後にした。
ロープウェイで山麓駅から姿見駅まで10分、標高差500mを一気に上がる。片道券2000円に対して往復券は3200円とお得なのだが、有効期限は3日なので片道券を購入した。
そう、今回の旅は5泊6日で旭岳からトムラウシを往復するのだ。一昨年、昨年と旭岳から十勝連峰を縦走したので、今年は一休みして花を楽しもうと思ったのだ。一休みと言っても20kgはある荷物を担いで70km歩くので油断はしないようにしよう。
ロープウェイを降りて旭岳が見えてよかった。曇りでも山が見えるのと見えないのでは大違いである。ロープウェイに一緒の乗った人たちの中に縦走をする人はいなさそうで、旭岳まで行く人は何組かいたぐらい。今日は月曜日、静かな山行になりそうだ。
今年は6日しか山を歩いていなかったので体力はかなり落ちている、それでも旭岳の山頂まで2時間15分だったのでまずまずの出だしだ。
旭岳の頂上直下には黄花石楠花(キバナシャクナゲ)の群落があって好きな場所の一つである。
キバナシャクナゲの群生地の下にある雪渓を降りきれば裏旭のテント指定地だ。ここは泊まったことがないけれど、夜は満天の星を見られそうなので機会があれば泊まってみたい。
この辺りからお腹の調子が急に悪くなった。めちゃくちゃ痛い、そして襲いくる下痢の波の恐怖、下痢止めを飲んだが効く様子はなく、波は今日の宿泊地である白雲岳避難小屋に着くまで20回以上襲ってきたのだった。まぁ、携帯トイレを持っているので使えばいいのだが、初日から中身の入った携帯トイレを持ち歩きたくないので、小屋まで必死に我慢したのだった。
そんなお腹のこととは関係なく、道の脇には可憐な花が咲き誇っていた。霧の雫を従えた雌阿寒金梅(メアカンキンバイ)、とても涼しげだ。と言ってもここは下界の暑さを忘れるぐらい涼しい。
ここからしばらくお花をお楽しみください。
岩梅(イワウメ)
蝦夷の栂桜(エゾノツガザクラ)
稚児車(チングルマ)
白ではなくピンクのイワウメは珍しい。
荒井岳から北海岳の荒涼とした砂礫の稜線に現れた蝦夷高嶺菫(エゾタカネスミレ)、逞しい。
花咲く高山植物以外にこの時期に見られる残雪模様、ここはお鉢と呼ばれる場所である。
蝦夷岩爪草(エゾイワツメクサ)
雲間雪の下(クモマユキノシタ)
黄花塩竈(キバナシオガマ)
岩袋(イワブクロ)
エゾツガザクラと蝦夷の白山一花(エゾノハクサンイチゲ)
深山金梅(ミヤマキンバイ)
蝦夷小桜(エゾコザクラ)
鬱金空木(ウコンウツギ)
這松(ハイマツ)
青の栂桜(アオノツガザクラ)
高嶺女郎花(タカネオミナエシ)、別名は千島金鈴花(チシマキンレイカ)
曇りなので遠くの景色は見られないが、足元の花を思う存分楽しみながら歩いて白雲岳避難小屋のテン場に到着した。
しかーし、ここまで下痢痛に悩まされてきたのでトイレに直行、九死に一生を得てトイレの有り難みを噛み締めた。
ここのテン場には清らかな雪解けの水が流れている。受付を済ませたらテントを張る前にビールを冷やす。
エゾノハクサンイチゲとエゾコザクラの向こうに残雪、疲れも忘れる良い景色。
夕方前、雲が散ってトムラウシ山が少しだけ顔を覗かせてくれた。
肩が痛いので確認したら痣になっていた。明日からはタオルを肩に当ててバックパックを背負うことにしよう。
テントを張って荷物を整理したらビールだ。つまみは柿の種、夕飯はボロネーゼのパスタ、野菜が足りないな。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます