風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

遠い記憶

2011-11-13 | 

11/4(金) 晴れ

寝る時は寒くなかったので薄着でシュラフに潜り込んだが、明け方は少し冷えて気が付くと丸まって寝ていた。

ここは標高1200mの高ソメキャンプ場、朝露がたっぷりと降りていた。

木々に包まれている錯覚を覚える。レトルトのカレーを食べたら出発だ。

野麦街道沿いは紅葉真っ盛りで時折梓湖に映る山々を眺めながら朝のワインディングロードを駆け抜けて行く。

今日の目的地は上高地で訪れるのは30数年ぶりだ。R158に入ると車の台数が増えた。長いトンネルの多いこの道を夏にバイクで走るのは避けたいなと思う。

沢渡の集落に着くと駐車場の人においでおいでと手招きされる。上高地はマイカーが規制されているので沢渡か平湯に車を置いてバスで向かうことになるのだ。

ある駐車場にバイクを置いて着替えているとゼファーに乗る男性が入ってきた。彼も上高地に行くのであろう。着替えながらバスの出発時間がわからなかったので駐車場から下に見えるバスの係の人にあとどれぐらいで出発するのか大声で聞いた。

あと2、3分で出発するとのことだった。ゼファーに乗る彼は急いでバスに向かった。僕は遅れてもいいんですよ、と言ったが急げば間に合いそうなので必要なものをデイパックに詰めてバスに走った。

バスに向かう途中でゼファーに乗る彼が忘れ物だと言って駐車場に戻って行った。間に合うといいのだが。

渓谷沿いをバスは登って行く。国道から外れてトンネルへ入った。このトンネルは2005年に開通した新しい釜トンネルとのことだった。以前のトンネルは勾配もきつくすれ違いもままならなかったらしいが、そこを通った記憶は消えていた。

どこで降りるか決めてなかったのだが帰りはバスターミナルから乗った方がいいとお知らせがあったので大正池から歩くことにした。今や大正池は半分人工池だが湖面に映る穂高の山々は神々しい。

池を抜けて暫く歩くとゼファー乗りの彼がいたので後ろから声をかけた。よかった、間に合ったらしい。河童橋までの1時間、彼と旅の話をし続けた。

途中、Webikeと言うバイク関連サイトで知り合った人と一緒に走ったりしているんですよと話すと彼もWebikeはよく見ているとのことだった。

彼の名はkkさんと言った。嬉しくなって一緒に走ったことのあるWebike仲間の名前を何人かあげるとスーさん、vansさん、ごんさんを知っていた。

話しながらも良い風景に出会うと足を止めてシャッターを押した。

突然開けた場所に出た。昔は湿地だったのだろうか、枯れた草むらが広がっていた。

そのそばの田代池にも朝もやがかかっていた。

歩道沿いには山小屋風の宿泊施設が何件かあった。こんな場所に泊まるのもいいだろう。

1時間程歩いて河童橋に近づくと人が多くなった。子供の頃雨に煙った河童橋を見て立っていた事を思い出した。

kkさんはこのあたりを少し歩いて帰るとのことだった。僕はもう上流まで歩こうと思っていたのでまたどこかでお会いましょうと言って別れた。

河童橋に着いたら何か甘いものを食べようと思っていたので目の前にあった五千尺ホテル内の5HORNに入った。

どのケーキにしようかと迷ったが人気のレアチーズケーキとカプチーノを注文した。

河童橋を眺めながら美味しいケーキを食べてコーヒーを啜っていると贅沢な気分になって伊藤淳史さんが「贅沢だ」と言う缶コーヒーのCMが頭に浮かんだ。

甘いものはいつだって満足を与えてくれる。パワーをチャージして上流を目指した。

途中枝別れした細い流れのひとつに寄った。夏だったら靴を脱いで足を浸してみたくなりそうだ。

河童橋から1時間程歩き明神橋近くまでやってきた。鋭い山が明神岳だ。

明神橋を渡った所にある奥穂高神社にお参りして梓川の右岸を歩いて河童橋方面に向かった。

澄んだ流れの中に何かいる、岩魚だ。人が近づいても逃げない。もちろんここは禁漁区だ。

明るい木道を行く。河童橋からちょっと歩けばそこは静かだ。

河童橋に戻るとちょうどお昼ご飯の時間だった。そして目の前に会った河童食堂に入った。

入り口にいい旅夢気分で横山めぐみさんがおすすめと書かれた岩魚わっぱ飯があったので食べてみた。僕は北の国からのれいちゃんの呪縛から逃れられないのか。

待つこと15分、上品な香りと供にわっぱ飯が届けられた。岩魚の味が良く出ていた。大盛りがあったら嬉しい。

隣にいたおばちゃんはなんか思ったのと違うと言って残していたが、それを下さいと言う訳にもいかないのでもったいないなと思ったのだった。

そしてココロの洗濯ができたような気がした上高地を後にした。シャトルバスに揺られながら渓谷沿いの紅葉を眺めまた来ようと思うのであった。

まだ日は高い、次に向かったのは白骨温泉だ。10数年前に同僚達と宿に泊まったことがあるのだけれど、どこに泊まったのか思い出せない。

沢渡からの近道は現在工事中で使えず、乗鞍高原からスーパー林道を通って行く道だけが現在使えるルートだ。

白骨温泉は道路が分断されたらすぐに孤立しそうな山の中にある温泉だ。

渓谷沿いにある共同湯に階段を下りて向かった。少しぬるめだったがいい濁り湯であった。

月って不思議だ。大きく見えても写真に収めると小さくなってしまう。

キャンプ場に戻って焚き火の準備をしていたらスタッフの人がまわって来て、今日天体観測をするのでよかったら来て下さいと言った。星を見るのは好きなので是非伺いますと答えた。

天体観測の7時までにまだ2時間あったので気仙沼産の秋刀魚の缶詰や野菜炒めなどをつつきながらビールと焼酎を飲んでいたら少し酔ってしまった。

このキャンプ場には小さいながらも天文台があるのだ。気が付いたら7時を回っていたので暗い細い道をトボトボと登って行くと天文台があった。すでに数人の人が集まっていた。

星座の解説などを聞いたり望遠鏡を覗いたりした後天文台の中に入った。

アンドロメダ、木星、二重星などをこの望遠鏡で眺めた。

双眼鏡で見たスバルはごちゃごちゃしていて車のSUBARUのマークにそっくりだと思った。

1時間程楽しませてもらいテントに戻って少し焚き火を眺めてから寝袋に潜り込んだ。

近くに泊まっていた歳のいった家族が昨夜に続き深夜まで騒いでいて時々起きてしまった。

どうせ起きているならと中島みゆきを聴いた。テントの中でひとり聴く歌はみゆきに限る。

今日の走行距離は73kmであった。距離は短いがよく遊んだ。

 

 

コメント (8)
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