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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

トラフシジミの最後の輝き

2014年08月05日 | 昆虫

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トラフシジミ(シジミチョウ科)夏型

早朝散歩の折、葉裏に止まってじっとしていたトラフシジミが目に入りました。シャッターを切りながらソォーと近づきましたが、一向に飛び立とうとはしません。


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葉裏をひっくり返し、至近距離で写真を撮っても、身動き一つしないトラフシジミです。


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指を差し出すと、手にのってきました。トラフシジミの表翅は見たことが無く、とても興味がありました。


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私の興味に応えるかのように、トラフシジミは、必死に翅を広げようとしている様子ですが、なかなか開きません。

そのうち、草むらに落ちてしまいました。命の最期を迎えたようです。


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朝露で湿った葉の上で、静かに表翅を開いてみました。美しいコバルトブルーの輝きに、胸が高鳴りました。なぜ、こんなにも美しい翅をしているのでしょうか。


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これまで、翅の表を見る機会はありませんでしたので、命を振り絞って見せてくれたトラフシジミに感謝です。

もう寿命だったのでしょう。普段なかなか目にすることができなかったトラフシジミの最後の輝きを目前に、神秘に満ちた生きものたちの世界に心躍るひとときでした。


虫を呼ぶキヌガサタケのグレバ

2014年08月04日 | 昆虫

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先月の末(31日)、竹林のそばの藪の中にキヌガサタケが顔を出しましたが、草刈り機で刈り取ってしまったようです。グレバは無く、レースのようなマントと、柄の一部が残されていました。

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キヌガサタケの基部をのぞくと、その隣には幼菌が2個肩を並べて生えていました。

そこで、幼菌の上に草をかけ日差しを遮って、数日後には生長するであろうのキヌガサタケを楽しみにしていました。


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昨日、幼菌を見に行くと、2個とも白いマントを付けた立派なキヌガサタケになり、グレバにはさまざまな虫たちが集まっていました。

最初に発見した日の翌日か、翌々日には、幼菌が生長し、大きなキヌガサタケになっていたようです。グレバは虫たちの餌になり、マントもしぼんで今にも倒れかかっていました。


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グレバには、アオカナブンはじめ、オオナガコメツキ、キンバエなどたくさんの虫たちが群がっていました。


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アオカナブンは、全部で11匹いました。うち2組は交尾中で、オスに抱えられたメスは、グレバのエキスを夢中でむさぼっていました。

アオカナブンの飛翔は「緑の飛ぶ宝石」と言ってもいいほど陽に輝き、見事なものです。今年は、3度ほど目にしましたが、静止した姿を見ることはできませんでした。が、グレバに集まったアオカナブンは、近づいてもさわっても逃げようとはしません。グレバが虫たちにとって大いに魅力ある餌のようです。

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グレバの傘の下には、コクワガタやヒラタクワガタもいました。


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グレバに集った生き物たちを観察している間、ヒメジャノメも飛んできて仲間入り、キヌガサタケの近くにはルリボシカミキリもやって来ました。

キヌガサタケは、匂いの強いグレバでたくさんの虫たちを誘い、その代償として昆虫たちに胞子を拡散してもらい、子孫を残していく戦略です。移動できる生き物と移動できない生きものの持ちつ持たれつのすてきな関係ですね。

昨年も、キヌガサタケとグレバに集う虫たちに感動しましたが、今年は、アオカナブンはじめたくさんの昆虫たちが、所狭しと群れ仲良く食餌する様子に、改めて里山の素晴らしさを実感しました。


里山のハンター 「オオイシアブ」

2014年08月03日 | 昆虫

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オオイシアブ(ムシヒキアブ科)

かぼちゃの葉の上に、カラフルな色合いの虫が飛んできて突然止まった。よく見ると、テントウムシを捕えたオオイシアブでした。

葉っぱの上で休んでいたアマガエルは、オオイシアブの名ハンターぶりを、前足をそろえ、お行儀よく観察しています。


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全身が毛むくじゃらで、太くて頑丈そうな足をしているオオイシアブは、カメノコテントウの翅を持ち上げ、体に口元を突き刺して体液を吸っていました。


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数秒で食餌を終えたオオイシアブは、カメノコテントウを残して飛び去っていきました。


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オオイシアブに体液を吸われ、動かなくなったカメノコテントウ。

カメノコテントウは、お腹がすっぽりと甲羅に包まれ、背中の模様がカメに似ているところから名付いたようです。

先ごろは、大発生したクルミハムシを食べ、益虫として貢献してくれたカメノコテントウが、今度は、オオイシアブに命のバトンを渡しました。

つむぎの家の里山は、生き物たちのさまざまなドラマが展開されています。


究極の子育てをする「カバキコマチグモ」

2014年08月01日 | 生き物

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カバキコマチグモの産室

クモに興味を持ち始めてから5~6年、まだまだ分からないことばかりですが、クモは農業害虫を食べてくれる益虫として我が家では大切な存在であり、田んぼや畑で大役を果たしてくれています。

ただ残念なことに、つむぎの家に遊びに来る”生き物が好き”と言う子どもたちの中に、”クモが好き”と言う子は一人もいません。「キャー クモだ!」と叫ぶ綾里っ子たちには、「毒グモはいないから大丈夫!クモは田んぼや畑でいいお仕事をしてくれている大事な生き物なのよ」と言い聞かせていますが、カバキコマチグモは「毒を持っていて、噛まれると危険である」ことや「母グモは自らの体を子グモに与えて死んでいく究極の子育てをするクモ」との解説が目に留まりました。はたして本当だろうか。自らの目で確かめることにしました。

7月17日にススキの葉をちまきのように巻いたカバキコマチグモの産室を見つけました。

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ちょっと失礼して、ススキの葉を開いて産室を覗いてみました。

そこには卵を大切に抱きかかえるカバキコマチグモがいました。

すぐにススキの葉を元に戻し、しばらく観察を続けることにしました。


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2日後、開いたススキは糸ですっかり修復され、元通りのちまき形に戻っていました。

カバキコマチグモは、産卵から10~14日で孵化するそうです。


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そこで、発見してから12日目に再度「ちまき」を覗いてみました。

親グモがいれば咬まれることを覚悟して、孵化していれば母グモは子グモたちに体を与えている様子が観られることを期待して・・・・・。

ススキの葉をそーっと引っ張ると、母グモのお尻が見えていました。発見日の17日が産卵日と仮定しても、そろそろ孵化する時期ではないかと思いましたが、まだだったようです。


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咬みついてくることを予測したカバキコマチグモの頭は見えず、産室からのぞいているのはお尻、ぴくぴく動くお尻をよく見ると、なんと糸いぼから糸をだし、産室の修復を始めました。


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産室をのぞいてから1分足らず、見る間に産室はクモの糸で、閉じられていきました。


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その2日後の昨日、見に行くと産室はゴミ一つないきれいな、もぬけの殻になっていました。

結果、卵のうを抱えたカバキコマチグモの母グモは、攻撃性が強く危険であるということや母グモは自らの体を子グモたちに与える究極の子育ての様子も確認できませんでした。

次回の観察に、再度期待したいと思います。