カバキコマチグモの産室
クモに興味を持ち始めてから5~6年、まだまだ分からないことばかりですが、クモは農業害虫を食べてくれる益虫として我が家では大切な存在であり、田んぼや畑で大役を果たしてくれています。
ただ残念なことに、つむぎの家に遊びに来る”生き物が好き”と言う子どもたちの中に、”クモが好き”と言う子は一人もいません。「キャー クモだ!」と叫ぶ綾里っ子たちには、「毒グモはいないから大丈夫!クモは田んぼや畑でいいお仕事をしてくれている大事な生き物なのよ」と言い聞かせていますが、カバキコマチグモは「毒を持っていて、噛まれると危険である」ことや「母グモは自らの体を子グモに与えて死んでいく究極の子育てをするクモ」との解説が目に留まりました。はたして本当だろうか。自らの目で確かめることにしました。
7月17日にススキの葉をちまきのように巻いたカバキコマチグモの産室を見つけました。
ちょっと失礼して、ススキの葉を開いて産室を覗いてみました。
そこには卵を大切に抱きかかえるカバキコマチグモがいました。
すぐにススキの葉を元に戻し、しばらく観察を続けることにしました。
2日後、開いたススキは糸ですっかり修復され、元通りのちまき形に戻っていました。
カバキコマチグモは、産卵から10~14日で孵化するそうです。
そこで、発見してから12日目に再度「ちまき」を覗いてみました。
親グモがいれば咬まれることを覚悟して、孵化していれば母グモは子グモたちに体を与えている様子が観られることを期待して・・・・・。
ススキの葉をそーっと引っ張ると、母グモのお尻が見えていました。発見日の17日が産卵日と仮定しても、そろそろ孵化する時期ではないかと思いましたが、まだだったようです。
咬みついてくることを予測したカバキコマチグモの頭は見えず、産室からのぞいているのはお尻、ぴくぴく動くお尻をよく見ると、なんと糸いぼから糸をだし、産室の修復を始めました。
産室をのぞいてから1分足らず、見る間に産室はクモの糸で、閉じられていきました。
その2日後の昨日、見に行くと産室はゴミ一つないきれいな、もぬけの殻になっていました。
結果、卵のうを抱えたカバキコマチグモの母グモは、攻撃性が強く危険であるということや母グモは自らの体を子グモたちに与える究極の子育ての様子も確認できませんでした。
次回の観察に、再度期待したいと思います。