goo blog サービス終了のお知らせ 

大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

進級した子どもたち

2012年04月10日 | 綾里っ子

2012_0409_151957p4090038

昨日、春の嵐が吹き荒れる中、始業式も済み、3年生になったソウキ君とユウト君が、耕うんしていた畑に半ズボンに半そで姿、かつ素足で飛び込んできました。ソウキ君は座り込んで土をいじり、ユウト君は土を踏みしめながらふわふわした土の感触を楽しんでいます。

2012_0409_152721p4090045

ソウキ君は、自分の両足をシャベルですっぽりと隠し、にやにやしながら何を想像しているのでしょうか?

2012_0409_153914p4090061

二人が畑の中で遊ぶ様子を、上の土手からジッと見ていた5年生のユカちゃんが、靴を脱ぎ裸足になって畑に入ってきました。走ったり飛び跳ねたりと悦に入っていたユカちゃんに向かって、二人は土で握ったボールを投げつけ、いつしか泥合戦になっていました。

2012_0409_154940p4090067

畑を出てからも、裸足で土手を走り回っていたソウキ君が、足の裏を何かで切ってしまいました。先に遊びに来ていた5年生のユウカちゃんが気づき、川の水で泥を流し、消毒をして傷の手当てをしてくれています。

2012_0409_155146p4090079

きれいになった足の裏に、今度はミノリちゃんがバンドエイドを貼ってくれています。この日は強風が吹き荒れ,体のバランスを失ったのか、ユウト君も腕にすり傷を、ミノリちゃん自身もゴザの重しにしていた石に頭をぶつけて「こぶ」をつくるハプニングがありました。

2012_0409_155435p4090091

ユカちゃんは、足元に咲いていたキバナノアマナを見つけ、「これなんですか?」と聞いてきたので、「キバナノアマナと言って食べられるよ」というと、「ほんと!」と言ってすぐに口に含みました。

私は、野草は基本的に熱を通して食べることを前提に話しているのですが、綾里っ子たちは、そのまま口に入れて食べてみます。子どもたちに促され、生でキバナノアマナの花を食べてみました。地中にある鱗茎が甘いことに由来するアマナの名前のごとく、なるほど花も甘くておいしい味でした。

その後、ニリンソウの葉を摘んできて「これ食べられますか?」と言うので、「トリカブトという毒草と間違いやすい 葉っぱだけれど、ここにはニリンソウしかないので大丈夫よ」というとやすぐさま口に運ぶ、「うわーまずい!」との声、熱を通すとほとんど癖のないニリンソウですが、そのまま口に入れるとなるほど、癖がありました。

2012_0409_160619p4090112

半袖に半ズボンで遊びに来ていたユウト君が、寒いと言いだし、ミノリちゃんが自分が着ていたジャンバーを脱いで、ユウト君の体を温めています。5年生になるとミノリちゃんたちは、上級生としての自覚が芽生えたのでしょうか? 下級生に対するお姉さんぶりを発揮している姿に、ほほ笑ましさを感じました。

2012_0409_160407p4090109

傷の手当てを終えたソウキ君たち、5年のお姉さんたちと竹馬やタイヤころがしなど、春風が強く吹き荒れる中でも、高学年も低学年も一緒になって春の野原で遊びまわる、嬉しい新学年のスタートです。

2012_0409_163457p4090124

3年生のショウゴ君に、「暖かくなったら生き物が出てくるよ」と話したことを、彼は覚えていて「今日は生き物は?」と私に迫ってきました。「ヤマアカガエルとその卵ならみられるよ」というと、「見たい、見たい!」と近くにいた子供たちと一緒にため池に走っていきました。

2012_0409_162848p4090118

ゼリー状のヤマアカガエルの卵を手にしたユカちゃん「かわいい!」と卵をのぞきこんでいます。

2012_0409_164547p4090128

ショウゴ君とユカちゃんは、カエルの卵を持って帰りたいと言いだし、おたまじゃくしになるまでは餌もいらないので持たせることにしました。

一学年一クラスの小さな学校で、クラスのお友達は変わらないけれど、それぞれの担任が替り、学年が一つ上になった子どもたちの、「つむぎの家」での新学期もスタートしました。

腕白盛りの3年生の男の子たちを、お姉さんらしく優しく接する5年生の女の子たち。自然の移り変わりに、この子たちの成長の姿が映し出されたような春の一日でした。


農作業スタート

2012年04月09日 | 有畜複合農業

2012_0407_113825p4070011

凍てついていた大地も緩み、畑作物の作付準備作業を始めました。

ここは昨年、エゴマを栽培した畑、収穫後のエゴマの枯れ茎やごみを燃やすと、油分が多いせいか勢いよく燃え上がりました。鹿は、エゴマは食べないので、枯れ茎がたくさん残っていました。

2012_0407_131500p4070023

こちらはそば畑、収穫後の作物の枝やごみを燃やし、耕うんの前段作業です。

2012_0408_163852p4080004

ハウス脇に植えていた、アピオス(ほど芋)の収穫

秋には茎が枯れ、年内に収穫できるのですが、アピオスは寒さに強く、冬を越すと一段と甘みが増します。凍っていた畑の土も緩んできたので、昨日収穫しました。

アピオス(マメ科のつる性)

アピオスはマメ科の植物で栄養価が高く、カルシウムはジャガイモの30倍、鉄は4倍、タンパク質は3倍、その他ミネラルやビタミン、植物繊維が豊富に含まれ、栄養学的にも極めてすぐれた食品と言われています。味はジャガイモにも似てますが、水分が少なく、甘くてホックりしています。

2012_0408_164110p4080006

アピオスは、地下茎を伸ばし、節々に3センチ前後のラグビーボール型の肥大部ができ、芋を作り、数珠やネックレスのように連なった形となって実を結ぶ面白い植物です。アメリカ先住民が強精食として食べてきたそうです。

2012_0407_112438p4070002

アピオスの収穫時、冬眠していたアマガエルまで起こしてしまいました。春の日差しを浴びましたが「まだ寒いよ~」と土の中にもぐっていきました。

思い起こせば昨年の今頃、大震災から1か月余りが経ち、各家庭に支援物資が配られ、食べ物には不自由しませんでしたが、まだ電気も水道も使えず、近所の方が台車を押して、毎日水を汲みに来ていました。風呂は沢水を使い3~4日に一度、水汲みに来る方々の目をはばかりながら日中(夜は明かりがない)交代で風呂に入り、薪風呂のありがたさをしみじみと感じたものでした。また電気の無い暮らしは、日一日と日が伸びていく変化や日差しのありがたさを感じ、自然と共にある暮らしの大切さや、当たり前に過ごせる日常がいかに幸せであるかを教えてくれました。

昨年の今頃は、まだ農作業ができる環境では無く、大家族のおさんどんに追われた毎日でした。震災から1年が経ち、復興にはまだ程遠い三陸の現状ですが、自然に向き合い作付への夢を描きながら農作業をスタート出来た喜びに浸っています。


里山の春

2012年04月07日 | 里山風景

2012_0403_114754p4030011

キバナノアマナ(ユリ科)

クリやクルミの木の林床に、キバナノアマナが咲き始めました。

2012_0406_163807p4060010

キバナノアマナの花びらは6枚で内面は黄色、外面は緑色を帯びています。花茎を10㎝ほど伸ばして咲く小さな花ですが足元で春を誘っているようです。若芽、若葉は食することができます。

2012_0403_114815p4030013

アズマイチゲ(キンポウゲ科)

アズマイチゲは一本の茎に一つの花を咲かせるので一華(イチゲ)といわれ、曇りや雨の日、晴れていても太陽が高く昇る前の気温の低い時間では花はうつむいていますが、日差しが強くなる午前10時過ぎにやっと純白の花が開きます。

キバナノアマナやアズマイチゲは、早春の木々が芽吹く前に葉を展開し、花を咲かせ、初夏には地上部が枯れ、翌春まで地下で過ごす、「スプリング・エフェメラル」春の妖精と呼ばれ、今、春のはかない命を謳歌しています。

2012_0406_093505p4060005

キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)

キツネノカミソリは、花の色が狐色をイメージさせ、葉の形がカミソリに似ているところから名付けられました。

千田家12代まで眠るお墓の前には、キツネノカミソリが自生しています。早春に葉を出して球根を太らせ、葉が生い茂る夏頃には一旦葉を落とし、お盆頃になると花茎を30㎝ほどに伸ばして花を咲かせます。花が咲くころには葉がないところや有毒植物であるところはヒガンバナと似ていますね。

キツネノカミソリはお盆のころに、ヒガンバナはお彼岸に花を咲かせ、ご先祖様に因縁のある植物ですね。旧のお盆にはお墓の前一面が橙色のキツネノカミソリの花で彩られます。

春植物がみられ、温かさを感じる一方、小雪が舞う、気温差の大きいこの頃です。東北の春は行きつ戻りつ、ゆっくり、のんびりやってくるようです。


お弁当を持ってやってきた綾里っ子

2012年04月04日 | 綾里っ子

2012_0403_114619p4030007

非常にに発達した低気圧の影響で、全国的に大荒れの予報が出ていた昨日、ミノリちゃんがリュックサックを背負ってつむぎの家にやってきました。時計が午前11時を回っていたので「こんな時間から遊ぶの?」というと「今日は、お弁当を持ってきて、つむぎの家のベンチでみんなで食べようと約束した」とのこと、その後次々にお友達がやってきて、みんなで氏神様下の見晴らし展望に向かいました。

2012_0403_114909p4030014

ここは綾里小学校も見える見晴らしの良いところで、丸太のベンチがあり、ここで手作り弁当を食べる企画だったようです。

朝から暴風雨波浪警報が出されており、嵐の前の静けさとでもいうような、どんよりとした空模様の天候でしたが、ミノリちゃんたちの思いが氏神様に通じたのでしょうか、雨や風もなく、迎えてくれたようです。

2012_0403_115403p4030019

目的の場所に到着するやいなや、12時前でしたが、早速お弁当を広げ始めました。

みんな色とりどりの美味しそうなお弁当です。「自分で作ってきたの?」と聞くと、「お母さんと一緒につくったの」とニコニコと話してくれました。

2012_0403_120241p4030046

「おいしそう!」とミノリちゃんはユウカちゃんのお弁当に箸を伸ばしています。「ユウカちゃんは人一倍食べ物に興味を持っているのに給食は食べるのが一番遅い」などと、おしゃべりしながらみんなでお弁当を楽しんでいます。

2012_0403_123531p4030073

昼食後は、ため池に行って生き物を観察、包接しているヤマアカガエルやカエルの卵のうを見つけたようです。

2012_0403_123919p4030086

水はまだ冷たいのですが、卵のうのかたまりを容器に移し、手で触って「ゼリーみたいにぶよぶよしている!」とカエルはさわれないというユウカちゃんが、卵の感触を楽しんでいます。

2012_0403_125734p4030099

その後は山に行きたいと言いだし、向かい側のカタクリ山にむかいました。カタクリは、葉があちこちに出始めており、後10日も経つと花が咲き始めるようです。みんなは、急斜面の山を駆け上ったり、竹林の中を遊びまわったりと、春の里山を駆け巡っていました。

竹林の薄暗い中で、私が「みんなで目をつむり、耳を澄まして風の音や空気を感じてみよう」と言って、目を閉じ春の気配にひたり、目をあけると「目をつむっていたのは千田さんだけだよ!。ふふふ~」とミイカちゃんの笑顔が飛び込んできました。

2012_0403_131934p4030125

山を下りてからは、庭で竹引きゲームを始めました。綱引きと同じルールで中心線を越えて引きずられると負けです。ユウカちゃんとミノリちゃんの戦いに、モモちゃんとミイカちゃんは応援です。

2012_0403_132221p4030132

今度は竹の棒で、「チャンバラごっこ」。ミイカちゃんとユウカちゃんのとで、腰から下の体に先に触れたほうが勝ちです。ミノリちゃんとモモちゃんの応援合戦も盛り上がっています。

2012_0402_143911p4020014

一昨日、初めての竹馬に乗ったユウカちゃんとそれを支えるミイカちゃんの様子です。乗る方も支える方も必死です。

2012_0403_113549p4030006

昨日は、一人でもバランスをとりながら数歩ずつ歩けるようになりました。子どもたちのバランス感覚はすごいものです。一週間もすれば、自由に乗りこなせるようになることでしょう。

昨日は,ここ綾里地域にも暴風、大雨、洪水・波浪警報が出されていましたが、子どもたちの願いが通じたのでしょうか、どんよりとした温かな日和で、心配した風雨もなく、午後2時近くまで遊ぶことが出来ました。子どもたちはもっと遊びたかっようですが、警報も出ているので、雨が降り出す前に早めに帰ってもらいました。

子どもたちが帰って間もなく、雨が降り始め、風も少し吹いてきました。その後、夜には風雨も強まり、翌朝までは、雪混じりの強風が吹き荒れました。

春の”のどかさ”と”自然の脅威を感じる一日でした。


日本で一番早い入学式

2012年04月01日 | 綾里っ子

023

綾里小学校は、今日(4/1)入学式を迎えました。4月1日の入学式は、100年以上前から行われており、今では日本で一番早い入学式となっています。

昨年は、震災で体育館も被災し、1日にはできませんでしたが、今年は、体育館も修復され、伝統の入学式を挙行することができました。

032

新一年生の教室の前には、上級生の子どもたちが作った花カードが飾られています。

029

大船渡市長(左)、教育委員会長(中央)、綾里漁協理事長(右)などが、来賓として参加しています。

033

入学式に出発する前の、新一年生たち14人(男9人、女5人)。

男の子は羽織袴、女の子は振袖、袴姿で整列しています。

041

式場では、保護者の方々が、わが子の晴れ姿を見ようと待っています。お父さんたちは、ビデオ係りで、体育館の横でカメラを構えているようです。

044

新一年生たちは、担任となる菊池先生の紹介を受け、ちょっと緊張気味です。

045

校長の三浦先生から、綾里小学校の「目標とする子ども」についてお話を聴いています。

049

その後、来賓の祝辞を緊張しながら聴いていますが、ちょっと疲れてきた子もいるみたいです。

053

入学のお祝い品を、男の子はPTA会長から紅白のまんじゅうを、女の子は婦人会長から黄色の安全帽子を贈られました。

056

最後に、5,6年生全員から、在校生歓迎の言葉を贈られ、晴れの入学式が終わりました。

日本で一番早い入学式ということで、報道関係者が20名ほど、来賓者が30名ほども参加しており、入学児童とその保護者や、5,6年の在校生43名よりも多い、報道や来賓の数でした。

あの震災から一年が経ち、なかなか進まない復興の道ですが、入学を迎えた一年生たちのためにも、いや、未来を託す子どもたちにとって、早く明るいスタートとなるよう期待します。