ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

実力を示してから

2009-03-25 08:18:28 | Weblog
「教職大学院制度に課題」3月24日
 教職大学院制度について、院生が確保できるかどうかは、先生を送り出す側の教育委員会が握り、院を修了しても給料や採用の優遇もないなどの問題点を指摘する記事を目にしました。
 また、文科省が、大学院に進んだ新卒者が修了時100%採用試験に合格するよう非公式に求めていることを挙げ、「合格しなかった新卒者に2年後、全員合格を求めるのは難しい。それが前提だと、そもそも新卒者の受け入れに慎重にならざるをえない」という担当者の声を紹介してもいます。さらに、現職教員の院生の確保にも問題はあるとし、多くは地元教委からの派遣に頼っており、授業料は本人負担だが、給料は支給する上、代わりの教員が必要になるため、派遣が今後も続くかどうかは予算上の問題もあり不確定であることを指摘しています。
 それ以外にも、東京都のように、実習などの教育内容にも注文を出し、大学側と協定を結ぶケースでは、教委側の要求を何でも受け入れると大学の自立性の問題とかかわり、逆に意向を尊重しないと教員派遣に影響が出る可能性もあるという不安を持つ大学も少なくないようです。
 しかし、教職大学院を卒業しただけで、教員として優れた能力をもつと認定され、給与等の待遇で優遇されるという制度を確立するのは、現職教員の納得を得られないと思います。そもそも、研究中心の大学院ではなく、いくら実践的な課題を掲げているとはいっても、机上の空論で指導力が身に付くとは思えないというのが教員の実感だからです。頭でっかちで理屈ばかりこね回す教員になってしまうのではないかという危惧は私ももっています。
 教職大学院と同列に論じるのは正確な議論にならないかもしれませんが、かつて「教育相談」が「流行」したとき、教育相談研修で上級を終了した教員の中に、学校の現状を無視してカウンセリング理論を振りかざし、子供も学校現場も混乱に陥れた「困ったちゃん」が少なくなかったのです。多くの教員は、同じような結果に陥る危険性を本能的に感じているのです。
 教員自身の学ぶ意欲を重視し、卒業生が現場で一段上の能力を発揮してもらうことしか、大学院卒業生の優遇を認める雰囲気を醸成する方法はないと思います。
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