ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

数値化の欠点

2024-05-17 08:03:01 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「私は貧困?」5月10日
 『子ども政策 評価指標250超 政府審議会 実行計画の素案提示』という見出しの記事が掲載されました。『こども家庭庁は9日、こども家庭審議会の部会で、今後5年間程度のこども関連施策を盛り込んだ「こどもまんなか実行計画」の素案を示した(略)各施策を評価・検証するため250超の指標を設けたのが特徴だ』という内容の記事です。
 その中に、『体験の機会作りの指標としては、「子どもへの舞台公演鑑賞機会の提供に関する数値」や「1カ月の間に本を一冊も読まない児童生徒の割合」などを盛り込んだ』という記述がありました。
 こうした指標で、各自治体の取り組みが評価されることになれば、学校は首長部局から「数値」を上げることを求められるようになることが予想されます。数値は質を含みません。著名な劇団の公演も、地元の有志による劇団も同じ1回です。数百ページの大作もイラスト入りの数十ページの本も同じ1冊です。首長部局から十分な教育予算が確保されないまま、数値を上げることだけ求められれば、安易な数値づくりが横行するだけです。
 そもそも、上記のような指標は適切なものなのでしょうか。私は小学生のころ、いわゆる観劇経験はゼロでした。本を購入することもほとんどありませんでした。学校の図書室があったのかどうかも記憶にありません。でも、6年生のとき、毎日のように区の児童館の図書室に通い、ホームズ全集20巻を読破しました。私のような子供は可愛そうな子にされてしまうのでしょうか。当時の私は十分に満たされた楽しい日々を過ごしていたのですが。指標を設けるのであれば、幸せ指数のような発想が必要だと考えます。
 国民の納めた税金で実施される政策について、その使途が適切か、効果を上げているかを検証し公表することは必要です。ただ、そのために数値化可能な指標を多数設けて、達成割合を示すというやり方は、数字合わせの汲々として実態を丁寧に見取ることが疎かになるというのは否めない事実です。
 子供自身、保護者、教員、児童相談所や児童施設の職員、警察の少年事件担当者、民生委員や児童委員、ソーシャルワーカーやカウンセラー、医師など、子供に関わる人を対象に、広く感想や意見を集めることがもっと重視されるべきだと感じます。

 

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