ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

適格性

2024-05-24 08:18:47 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「適格条件」5月18日
 『「離島の教育長」に人口上回る応募』という見出しの記事が掲載されました。『伊豆諸島の利島が、教育行政のトップを担う教育長を公募し、島の人口を上回る応募があった』ことを報じる記事です。
 記事のよると、『自治体の公募自体は珍しくないが、異色なのは転職サイトを活用している点だ』とのことです。しかし、私が注目したのはそうした点ではなく、利島村が示した応募資格です。『25歳以上で、民間企業や行政、学校などで企画やプロジェクトの新規立ち上げ、組織外との連携や事業推進の経験があること』というものです。
 つまり、教育や学校についての経験や知識、あるいは抱負といったものは一切期待されていないということです。余計なお世話かもしれませんが、そうであるならば「教育長」などではなく、第二副村長というような位置付けの方が相応しいと思ってしまいました。
 東京都の場合、区市の教育委員会には、教員経験者である指導主事と指導室課長が配置されており、教育課程や教員研修などに関する事務を統括していますが、町村教育委員会には、そうした職員は配置されていません。ですから、区市教委の教育長は、学校教育のついての経験がない首長部局の部長職が就任することが多いのですが、町村では、教育長の学校教育についての知見の乏しさを補う指導主事や指導室課長がいないだけに、教育長公募に際し、学校教育についての知見を一切問わないというのは大胆だなと感じたのです。
 誤解のないように書いておきますが、他の町村教委の教育長は学校教育についての知見を有する者だというわけではありません。むしろ、職員数が少ない町村では、学校教育の現場を経験してきた職員を配置する余裕はなく、教委内に教育長を含めそうした職員は一人もいないということの方が一般的なのです。ただ、教育長という職についての公募で、ここまで明確に学校教育についての経験も豊富も不要と打ち出す「勇気」に軽いショックを感じたということです。
 改めて考えてみています。今の時代、教育長に求められる能力・資質・経験・見識とは何なのかということを。

 

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