山野颯想

山野走、山野歩、山野逍遥など、山野にかかわる事柄を中心に記載しています。

比良山系・八雲ケ原湿原(悠久のとき)

2012年10月28日 | 山野歩

Sii396

◆撮影:2012年9月2日、比良山系・八雲ケ原湿原にて

20121014日(日) 

『山野歩』

<比良山系・八雲ケ原湿原>

[比良駅(JR湖西線)]717809[イン谷口]→832[大山口]→910[青ガレ下]920957[金糞峠]10131040[八雲ケ原湿原]12501323[金糞峠]1350→[青ガレ]→1454[大山口]→1514[イン谷口]→1556[比良駅]

<悠久のとき>

JR比良駅より山麓へと向かうとき、頭上には鱗雲が、比良山系上には高積雲が発達するという、雲量「2」の晴れやかな秋天であった。往路、金糞峠から見上げた狭い空には僅かに絹雲があったのみで、高積雲は消滅し真っ青な空が拡がっていた。ところが、“八雲ケ原湿原”でその景観を楽しむ内に、雲量は漸次増え陽射しが陰るようになる。しかしもしかすれば、“八雲ケ原湿原”には陽光が注ぐ蒼穹よりも、曇り空の方が似合うのかもしれない。

池や湿原の周りを何周もしたし木橋上を幾度となく歩き、二時間余りの間“八雲ケ原”で愉楽の時を過ごさせて戴いた。池面にはあめんぼやイモリが見られ、小魚が泳いでいた。また湿原では、白花のウメバチソウと黄花のミミカキグサが花期を迎えていたし、マムシグサの朱赤の果実が、立ち上がった茎の頭に燦然と輝いた。湿原上をルリタテハ蝶が舞い、数多の赤蜻蛉が飛び交い時折木橋上に舞い降りたが、この赤蜻蛉は“アキアカネ”なのだろうか。木橋上を闊歩するオオカマキリにも出合った。またスキーゲレンデ跡の草叢中には紫の筋がある白花のセンブリが其処彼処に咲き、僅かではあったが、華やかな紫の色彩のリンドウにも期待通り出合うこととなった。

“八雲ケ原”に至る途でも幾つかの花に出合った。なかでも青ガレに入った直ぐのところ、左手日当りのよい処に咲いていたアキチョウジ(?)の華やかな紫の色彩の花の数は圧巻であった。その右手には白花のヤマシロギクが伸び上がっていた。大山口を過ぎてから暫くの間路傍を賑わしたのは小さな白花のマツカゼソウで、なかには花期が終わり花の部分が赤くなったものも数多あったが、その赤の色彩は花の白よりも透き通るような葉の緑色に一層合うように思われた。またその道すがら黄花のアキノキリンソウにも再三出合うこととなった。

奥の深谷の源流に沿って歩く途、原生林に包まれた清閑なその途を、軽やかで清冽な沢の流れに耳を欹てながら歩くとき、原生林中に猿の声があった。その辺りの足下に栗の毬が多数落ちていたのは猿が餌としたからに違いないと思った。滔滔と流れる奥の深谷源流の川面が僅かな木漏れ日に煌き、陽射しが届く少しばかり明るい処にヤマトリカブトがひっそりと咲いていた。山麓では淡紫色のノコンギク、そしてヨメナと、キク科の花が僕の眼を楽しませてくれた。

青ガレの下で休むとき、地元の方と話す機会があった。「熊が出たそうだ」「猿が群れを作って移動している」「鹿が畑を荒らす、今朝、我が家の傍らで鹿の声を聞いた」などとその方は語った。帰路、湖西道路のほん近くで、捨てられたナイロン袋をくわえて、僕の気配に気づき雑木林中に駆け込む二頭の鹿の姿があった。

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