山野颯想

山野走、山野歩、山野逍遥など、山野にかかわる事柄を中心に記載しています。

滋賀・霊仙山(29頭の鹿に出合う)

2020年10月07日 | 山野歩
2020年09月16日(水)
『山野歩』
<滋賀・霊仙山>
<榑ヶ畑~今畑~笹峠~霊仙山~経塚山~榑ヶ畑>
[コースタイム]
[榑ヶ畑・駐車スペイス]9:12 → 9:49 [榑ヶ畑・登山口] → 10:00 [売店小屋] → 10:19 [汗フキ峠] → 11:04 [落合] → 11:10 [今畑] → 12:18 [笹峠] 12:33 → 13:44 [近江展望台] → 14:53 [霊仙山最高点] → 15:05 [霊仙山] → 15:28 [経塚山] → 16:04 [霊仙神社] → 17:07 [汗フキ峠] → 17:31 [榑ヶ畑・登山口] → 18:06 [榑ヶ畑・駐車スペイス] 
◆所要時間:8時間54分
<29頭の鹿に出合う>
初めて霊仙山にやって来た。
昭文社の地図と小冊子を見て、案内にある通りに歩こうと決め、榑ヶ畑登山口より入山し、
一旦今畑へと下り、それより笹峠から西南尾根を辿り霊仙山頂を踏み、
経塚山経由でスタート地点である榑ヶ畑登山口へと下山する計画であった。
小冊子では、榑ヶ畑登山口まで車が入れるとのことであったが、
その手前で、林業関係者以外は乗り入れ禁止と書かれたゲートが設けられ、
それが叶わなかったことで、車を止めた処より、榑ヶ畑登山口まで舗装道路を歩くことになり、
それに37分も費やしてしまったのは、計算外であった。
閉まっている売店小屋を左に見て右折し上って行くと、間も無く汗フキ峠に到着したのだが、
それより落合へと向かう傾斜気味の下降路が至極怖かった。
トレッキングポールと設置してあったプラロープとが無ければ、僕の足腰では恐らく下れなかったに違いない。
今畑より笹峠への上り道で、予定以上に時間を費やしてしまい、
笹峠に到着したときには、既に12時が廻っていたので其処でお昼にする。
立った儘の姿勢で菓子パンを食べ、スポーツ飲料を呑み、15分後にはまた歩き始めた。
間も無く森林限界を過ぎ西南尾根に入ると、これまた歩き難い上り道が続きかなり疲れてしまう。
やっとのことで近江展望台に到着し、前方に連なる緩やかな山容を眺めると、
これでしんどい上り道から解放されるという安堵感が、我が心中に拡がったのだが、
それがそもそもの間違いだったのかも知れない。その安堵感の所為で二度も道を間違ったのだ。
今歩いている道は、踏み跡はあるのだが、どうも本来の道ではないようだと思い始め、
いずれも、来た道を引き返し、眼前のピークを目指すことにより解決したのだが、
予定外の時間と身体力を費やすることとなった。
それは、のっぺりした丘のような、同じような標高の山が周辺に幾つも連なっていて、
しかも其処彼処に道らしき道があるのが、道を間違った原因のように思えた。
道を間違ったお蔭でよいこともあった。それは29頭もの鹿に出合えたことだ。
霊仙山最高点前後くらいからだっただろうか、足下に沢山の黒くて丸い糞がころがっているので、
どうも鹿がいるようだと思っていたのだ。それは、道を間違えた二度目のことであった。
眼前のピークを目指し懸命に戻るときに、三頭の鹿が左手の尾根から僕の方を見ているのに気付いたのだ。
そしてだ、それより本来の道に戻り、これで今日中に我が家に帰れそうだと、愉楽の気持で歩き始め暫く経ったときのことであった。
眼前の尾根に沢山の鹿がいるのに気付く。
彼等は、好天を愉しんでいるが如くゆったりとした歩みで東へと進んでいる。
そうこうしているうちに軽やかに駆け始めたのだ。慌ててその頭数を数えると、なんと26頭にもなった。
それは既に15時半が廻っている時刻のことであった。鹿が我が視界から消えるのを待って帰路につく。
29頭もの鹿に出合えたことに嬉しさを感じ、それまでの疲れが吹き飛んだようだ。
歩き始めると、左手より鈴の音が聴こえてくるので、その方向に眼をやると、
30㍍ほど離れた処を僕と同方向へと進む独りの人がいたが、直ぐに僕の視界から消え去った。
鈴の音を聴いたときに、入山時に“熊出没”という看板があったのを思い出した。
今日の山行で見掛けた人はこの人も含めて三人で、笹峠より近江展望台へと懸命に上るときに、
南方を上から下りて来られた人と、今畑より笹峠へ向かうときに出会った人との三人だ。
今畑より笹峠へ向かう道で出会った男性とは言葉を交わす。
その中高年の男性は「彦根から来ました」「トレーニングが目的です」などと仰った。
今日の山行では、こむら返りに陥ることはなかった。
しかし、歩き難い西南尾根を懸命に上りやっとのことで近江展望台に到着したときに、
こむら返りの予感があったので芍薬甘草湯を一袋服用した。
この一袋が最後まで効いたのかも知れないし、終始、我がペースで歩いたからかも知れない。
車を止めた処より榑ヶ畑登山口へと舗装道路を歩くときに、我が眼を愉しませてくれたのは、
マツカゼソウとヘツカリンドウ、そしてタンナトリカブトだ。
なかでもマツカゼソウは、榑ヶ畑登山口より、今畑経由で笹峠までの森中では再三姿を現した。
その笹峠では、アケボノソウが眼に留まる。この花が咲くのに気付いたのは、後にも先にも此処だけであった。
汗フキ峠より落合へと向かう至極怖かった下降路では、足下にミズヒキが咲いていた。
笹峠より近江展望台へと続く傾斜のあるしんどい上り道は、ベニバナボロギクの天下といっても過言ではなかった。
それは花だけでなく白色の冠毛がかなり目立っていた。
その間隙に時折、黄花のカタバミが現れ、そしてもう一つ、ほんとうに小さな唇形の淡紅色の花にも何度か出合ったのだが、名前は分からない。
近江展望台より、石灰岩のカレンフェルトの道(小冊子による)を進むときには、トキワハゼやヒメフウロが眼に留まる。
また、エゾムラサキに似た小さな紫花も僅かに見ることができたのだが、残念ながら正確な名前は分からない。
霊仙山より経塚山への道ではタンナトリカブトがまた現れる。
それ以降は、陽が落ちるまでになんとか榑ヶ畑・登山口に着きたいと思い、花どころではなくなり、先を急ぎ歩き続けた。

コメント
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