去年、入院していた病院で「敬老会」があった。
9月に入ると、病院の廊下に「敬老会」のポスターが貼られ、ナースの皆さんの仮装ダンスの練習がはじまったり、入院中のお年寄りたちが心待ちになさっている気配が私にも伝わってきた。
私はようやく自分の足で歩くことができるようになっていた。杖がなくても歩けた。「そうだ、敬老会をビデオで撮ってあげよう。」 ビデオカメラを家から持ってきてもらった。滝壷のそばで転倒したとき、手に持っていたビデオカメラだが、大丈夫だろうか?
バッテリーを充電、テストすると異常なし。13日、敬老会を迎えた。
お年寄りのみなさんが車椅子に乗り、ナースさんに押されてやってきた。杖をついて食堂に集まった。40人くらいだったかな?整形外科の病院だが、お年寄りが想像以上に多い。年を重ね、腰や膝を痛めたり、手術のあと、体の自由を失ったり、整形外科でお世話になるケースがあるそうだ。
婦長さん挨拶から喜寿、傘寿、卒寿などのみなさんが保育園児から手作りの表彰状をもらって嬉しそう。ナースのみなさんが仮装してラインダンスを披露、リハビリ療養士のみなさんは自作の劇を上演、大喝采を浴びる。あっという間の2時間。私は足を引きずりながらビデオカメラを回し続けた。
15日退院、すぐにビデオの編集にとりかかった。そして、出来上がったビデオを差し上げた。
リハビリで病院に通ううちにビデオのお礼を口々にお聞きする。会場となった食堂にテレビとビデオ再生機があった。食後、毎日、敬老会のビデオが再生されている由、毎日、欠かさず上映会があって、誰かがみているとのこと。何回見ても、飽かないそうだった。
私の足がよくなって、病院にはずいぶん失礼しているが、ことしの敬老会はどうだったのだろうか。