こ と の 端

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中 間 在 庫

2017-03-19 08:04:54 | Weblog
バブル経済を日本で発生させたのは

ドル高圧力の昂進を防ぐ

ことを謀ったプラザ合意

に基づく

G5による一斉協調介入

をきっかけとする

ドル安政策の実施であった


在外資本が日本市場へと向かう

新たなトレンドがその時生まれ

世界中から日本へと上陸してきた

集中的なドル売りによる円買いが発生し

急峻な傾斜の円高が

それ以来持続するようになった


ドル建ての資本が

円建ての資産となったことにより

株式相場はその後

底堅く

安定的に着実に上昇する基調へと転じ

その他の新規流入してきた

円転された資本の多くが

不動産市場へと輻輳して

バブル景気と呼ばれる事態を生んだ


土地の価格は

大量の資本流入を受けて

上昇の一途を辿り

一定期間寝かせておくだけで

時が利益を生み出すようになり

猫も杓子も土地を買う

という状況を出来させた


この変化が土地のもつ資産価値

をひたすら増殖させることとなり

売却の段階で

購入した地価より

はるかに高い売却益

が簡単に得られる

というサイクル

を成り立たせるようになった


活用されていない

眠っている資産が別にあれば

それを現金化することにより

土地を保有する投資を進めることができ

時の経過を見計らって換金する

という風潮が一世を風靡した


獲得した収益で

次の土地投資を拡大する

というメカ二ズムが

そこで生み落された


土地の価格は絶対に下がらない

という土地神話が

広く一般に

信じ込まれていたことから

国民の間で

最も安全で確実な

効率の良い余資運用策

となったのだった


不動産を所有しているだけで

その価値は勝手にどんどん高まっていく

という時代が

85年の終わり頃から始まって

経済評論家と呼ばれていた一群が

土地の購入が多大な利益を生む

源泉になる

と至る所で触れ回り

不動産に対する投資が

いつの間にか投機へと発展していった


円高が当時急速に進んでいたことから

その防止対策として

低金利政策が実施されるようになっており

下がり続ける金利で

借入金を大幅に増やし

土地を購入しておきさえすれば

数日から数か月経つ頃には

資産価値は勝手にどんどん高められ

労せずに売却益を肥大させることが

容易くできるようになっていた


金融機関がこの時に生じていた

資本が資本を生む

というダイナミズムの活用法を察知し

資本系列の末端に位置づけられていた

ノンバンクと呼ばれる

金融の窓口となる傘下機関を

大量に設立して属性させ

土地を担保とする融資活動を

組織的且つ積極的に行っていた


土地を奪い合うという状態が進み

強制的に価値を吊り上げる地上げ

と呼ばれる活動が

当時積極的に行われていた


高値が高値を呼ぶという展開となり

株式相場と不動産相場の双方が

経済を強く引っ張る状況が生じ

企業と国民の多くが

低金利の借入金を活用することにより

土地を仕込んで寝かせておくだけのことで

巨額の不労所得

を随時欲しいまま

手に入れることが簡単にできていた


土地を売買する度毎に

潤沢な利益を得ることができ

再投資を繰り返す状況を

市場参加者全体が

時の勢いに乗じて

作り出す風潮が当たり前

という時代が成り立っていた


このメカニズムが

中間在庫の増減で

価値の調節を可能にし

資産運用法の確立

によるその増幅効果

で多くの国民が資産効果で潤った


土地取引に

中間在庫を介在させることにより

仕入れと売却の間で

バッファ効果が現在かするようになり

借金して土地を買っても

或る程度の期間

寝かせておくだけのことで

その資産は利益を太らせ

仕入れた時以上の価値を

売却段階で現金化する方法を

一般化させたのだった


これとそっくり同じ経過が

産油国と石油消費国との間で起きている

値上がり益が見込めなくなったとき

中間在庫を積み増す理由が突然消失し

原油相場に下押し圧力をかける動因

となって作用する


中間在庫を多くもっている組織ほど

時の経過と共にその資産価値は減少し

この逆資産効果が売却を急がせ

価値の下落を大幅に引き下げていく


バブルの発生は資産効果で

資本の再投資を促すが

バブルの崩壊は逆資産効果で

価値の減少を急がせるものとなる

売り逃げることができなければ

不良債権を大量に抱え込み

売ることもできない資産を抱えて

どんどん値下がりしていく相場を

切歯扼腕しながら

座視していることを強いられる


需要の増加を見込んだ先行投資が

在庫の積み上げを急がせ

消費市場の低迷が

在庫残高の調整を急がせて

価値の下落を促す

というサイクルが

バブルの本質となっている


ガソリンの価格調整には

精製プロセスの関与がそこに加わることから

大量の在庫を抱えておくのは

リスクであることから

取引価格が高まっても

在庫負担を減らす必要が生じると

売却量が増え

それが消費市場に反映され

ガソリンの価格を軟化させ

再び下落へと転じさせる要因となる


中間在庫の関与が

利益を増殖させるメカニズムの生みの親

需要期待の高まりが

在庫量を増やしても

消費市場が追随してこなければ

在庫残高が増えて

金利負担を過大なものへと転換する


中間在庫は設備投資に編入され

一時的に経済を成長させる指標となるのだが

消費市場が追随してこなければ

逆資産効果を生み出して

在庫整理を逆に急がせる圧力源

となって経済に作用する

モノの価値が低下すれば

それはデフレ

通貨価値が低下すれば

それはインフレ

この違いが政策決定機関に

よく認識されていなかった

金利の低下は

デフレ圧力を強化する


政府が経済成長を急いで

設備投資を加速させると

中間在庫が増え

消費市場では値引き合戦が

繰り広げられるようになる

取り分け年度末の決算期には

値引き合戦が国全体に広がって

インフレ効果を台無しにする


経済力学を軽んじていると

たった2%のインフレ率さえ実現できず

株式市場への資本流入を高めて

海外へ流出する機会を

差益の増加が自ら増やすこととなる

実体経済を圧迫する結果を

緩和マネーと日銀の資産とが

自らの手で引き起こしていることに

当事者の総てが未だ気づかない

思考力の低下が

アベノミクスの失敗を

五年目にして

漸く決定的なものにする


インフレメカニズムを惹起するには

金利の上昇が連動して起きていなければならない


一千兆円を夙に突破した大量の債務負担が

必要な金利上昇を強く妨げ

不必要なマイナス金利を導入する

という誤った選択を

日銀に行わせる結果を生んだ


これら一連の無様な経過は

脱デフレ政策を目指した

アベノミクスが動き出す前から

既に分かっていたことだった


教育の高度化が進めば進むほど

健全な思考力は失われ

誤った判断をそれが導き

陥った錯誤にさえ

気付くことができない社会を

産み落とすこととなる


知識は有益だが

思考力が伴わなければ

その意味と使い方とを

知ることが

そもそもできない


知っていることと

理解していること

そして

認識していることとは

それぞれに異なる


体験から身に着いたものでなければ

ものの役には立たない

机上の学習で

思考力を育てる

ことは本来できない

知識が判断の邪魔をする時代は

教育の高度が齎した

アメリカ型の学力重視の教育は

底辺に批判精神を育てさせ

奇矯な大統領を

民主主義的に

北米大陸へと生み落させた


体験こそが良き教育の母

知育偏重の教育制度が

この国の指導体制を

誤らせただけでなく

思考力を失って判断を誤り

批判精神を損なって

間違っていることが明らかな

経済政策の実施を

五年間も

続けさせようとしている

アベノミクスと呼ばれた

経済政策を失敗させたのは

教育制度に潜む身中の虫


判断が正しければ

誤謬はない

現状認識すらできないようでは

国と国民が苦労するばかり


責任は

党益に拘り続けている国会と

省益の拡大に腐心し続けてきた

官僚機構との合作

以外に存在しない


大局的な判断ができるのは

知育偏重型の教育を受けてきた

知識階級ではなく

遠心分離されてきた

ビュアで濃厚な

日本的な資質の優れて高い

批判精神を有する

古典的な土着思想とその意識


教育の失敗が

これから

次々に露呈する時代を経て

AIを活用する条件

を整えるメリットが

国民を

アメリカ型の教育から解放し

日ノ本の国に固有の

健全で

独立した

たましひの群れ

による合理的な

統治スタイルを創造する時を

やがて迎える


企業活力の喪失は

教育の失敗を表し

デフレ経済の長期化は

経済認識能力の劣化を

指し示す


判断が健全であれば

バブル経済の崩壊は

回避することができていた

株式市場では

90年の大初会で急落が先行し

四月になってから

土地神話の崩壊が起きるようになった

バブル崩壊に気付くことが

長期間できなかったということが

失われた二十年を

いま

三十年へと変えようとしている


判断能力の欠如こそ

高等教育がこの国に残した

滓(コンタミ)


学力重視の教育を復活させようとして

ゆとり教育を否定してきた

この国の指導者たちが

アベノミクスに無条件で賛同し

批判することなく

低迷する日本経済を

今も尚

是認しつづけている

この異様な趣


不健全な精神は

国家の健康を損ない

国民を不幸しておきながら

その事実に

永く気づかずにいる


選良と官僚が野合して

この国に

おおいなる混乱



人知れず連れてきた
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