こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

劣 化 過 程

2017-06-18 09:48:54 | Weblog
その浅薄な経済知識で

国の在り方を変えてきた

俗に

経済評論家と呼ばれていた

現在エコノミストと呼ばれている

誇り高き一群の殆ど



その昔

バブル景気を煽りに煽り

バブル崩壊が確定的となったとき

打ち揃って沈黙してしまい

貝のように

口を噤み

存在さえ不明な

海底の砂の中へと

一斉に身を隠し

今も尚その状態を続けている

その末裔がアベノミクスをもてはやし

国の状態を

自発的に貶めていた


バブル経済が潰え去った

ことが否定できなくなってからも

日本の知識階級の総て



長い間その事実を悟ることなく

ただ

おろおろと

俯いて

歩き回っている姿が

よく見受けられたものだった


この現実認識ができずにいた迷妄の時代

を後に不作為の三年と呼ぶようになり

初動に手を付けるのを

徒に遅らせていた

ということが

後の失われた十年

の端緒となった


その後の経済政策に於ても

バブル経済の発生と崩壊

に関する総括を行わないまま

96年度の予算で

公共投資を主体とする

三百兆円規模の財政出動

の実施へと踏み込んだ


経済低迷を齎した問題の所在

を今に至るまで

何一つ明らかにしてこなかった

という過去の経過が

その後の経済政策の悉く



当然のことながら

行き詰らせることとなり

国の財政は悪化の一途

を辿って

国の借金である赤字国債の発行残高

をそれ以降積み上げ続ける結果を生んだ

そして

先般ついに千兆円の債務規模

へと至らしめたとする事実は

増税圧力となって国民へと祟り

経済成長率をコンマ以下へと

長期間押し下げた


一連のこれら不毛な経過

に鑑みることができるなら

一切の責任は各種政策の立案と実施

に携わってきた国会の成員すべて



その拙い結果の幇助に関与した

官僚機構が共同で齎した

ということが直ちに分かる


総括を回避し続けてきた

というその姿勢が

アベノミクスの実施へと繋げた

ということなのであり

その認識に内包されていた

過誤

の関与に未だに気付けずにいる

という愚かなる顛末が

こうして

国民へと残された


国の現状は

選良と官僚とが

省益と党益を守ることを優先し

国益を蔑ろにしてきた

その酬い

要するに

それ以外の何物でもないのだ


考える能力があれば

バブル景気の発生機序が

プラザ合意にある

ということくらい

その一年後

となる86年秋までには

突き止められていた筈のこと


判断能力に瑕疵があったのだったからこそ

問題の所在を理解できずに

理由のない円高

という常套句を多用し続けて

総括する機会を

蒙昧な認識で

失い続けて現在へと至らしめた


バブル経済が崩壊したその訳は

不動産融資の総量規制の実施だったのであり

それが閣議で了承された

89年十月以降

国際金融資本と投資ファンドの一群は

株式市場から撤退するタイミングを見定め

施行に移される三ヶ月前の

大発会で株価の暴落を引き起こすこととなり

資本の回収を図ると同時に

土地の売却益の確保へと

猶予期間が満了する前までに

過度な円安(ドル高)を回避しながら

円滑に資本の移動を行い

損失の発生から

免れることがうまくできていた

バブル崩壊で

巨額の損失を蒙ったのは

国内の投資勢力のみだった


四月一日に施行されたこの総量規制は

外国人投資家には既に明確な形で見えており

国内投資家と不動産業界

及び建設業界をはじめとする

実需の土地バブルを推進してきた組織

と楽に儲けようと謀っていた国民のすべては

土地神話は永遠につづく

と根拠なく盲信したまま

海外資本が手放した売り物を競って手に入れ

中間在庫の拡大を

欲に駆られて急ぎ

売れ残りを生まない市場の維持

に率先して関与した


総量規制が天井を設定することとなり

需要が高まっても

新規購入するための資金が足りず

やむを得ず手持ちの不動産を

一旦売却しなければならなくなった


その結果一方的に高められていた地価は

90年四月の終わり頃までには

軟化しはじめるようになっており

次第に下げ足を速めていた

土地神話を盲目的に信仰していた

貪欲な国内の投資勢力一同は

価値の下がり始めた不動産を

好機とばかりに買い進め

傷口をより一層深いものにしてしまった


資産価値が減少したことで

銀行融資の不良債権化が進み

銀行は担保割れした貸付金の回収を

急がざるを得なくなり

取り立てを急ごうとするその姿勢が

貸し剥がしと呼ばれて

社会問題化することとなったのである


不良債権を抱え込んだことに気付いた

土地所有者は

持っているというだけで

それが勝手にどんどん値下がりしてゆくさまを目にし

切歯扼腕しながら

ただ傍観することを強いられた

資産価値を下げ続けるようになった住居を

売却することもできず

価値を急減させた不動産を買ったことを悔やみつつ

無意味な返済を

せっせと続けざることしかできなくなっていた


こうした経過が国民から

豊かだった資産を取り上げ

それによる可処分所得の減少を速め

消費市場を冷え込ませていたところへ

折あしく実施された

消費税を2%引き上げて

5%へと高めた増税措置が

消費意欲をますます圧迫し

インフレ経済からデフレ経済へと

引きずり落とす経過を生んだ


国の経済を

ひとしきり劣悪化させたその理由

など

愚か極まる国会以外の

どこにも存在してはいないのだ

無知な選良が

インフレ経済を手放して

デフレ経済を連れてきた

その現実を招いた己の責任

の意味にさえ

未だにまったく気付かない

というこのありさま


アベノミクスが成功する筈は

はじめから

なかったのである

問題認識能力の差

というものが

経済成長の新記録を遂げていながら

実感の伴わない

空疎な経過を

国民生活をデフレへと突き落としただけでなく

景気拡大を

分散矮小化させていたのだった

実感のない景気の拡大は

有効需要の創出に失敗してきた

経済政策の結果として

国会へと与えられたもの

当然の報酬というものだった


教育の高度化が

知識の量的拡大へと特化し

思考するための大切な時間を惜しみ

知識の意味を斟酌する効果

を台無しにしただけでなく

批判精神を失わせて

判断能力を劣化させ

権威筋からの具体的な指示

がなければ行動することもできない

という

所謂指示待ち世代の再生産

を強力に推し進め

虚ろな権威主義で

国会を誘導する勢力に

国の未来を託してきた

ということが

上意下達の見本

となった忖度を

今年の流行語候補へと押し上げ

総理の意向(威光)をチラつかせて

初期の成果の実現を

力によって加速させていた

とする事実が

国民の知る所となった


頂点に立ったその直後に

地獄の入り口が

大きく開く

憲法の改正を急ぐ姿勢を詳らかにした直後

教育関連の複数の行政措置が

諸刃の剣となって

攻撃の対象を変更し

自らの身へと

襲い掛かるようになる


政権の選択に失敗した

事実を悟った国民が

次の段階で

行き過ぎた権威主義に対して

平衡を取り戻すこととなる


失われた三十年

が成り立つその前に

正しい判断に基づく

有効な政策が

経済を賦活する時代の到来



国民のひとり

としてひたすら

庶幾う

のみ
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