こ と の 端

散文でロジックを
環境 経済 エネルギー 電気 教育 などの "E" に関するちょっと気になったこと

偏 差 歴 程

2015-06-28 08:21:37 | Weblog
経済体制がグローバル化したことによって

具有された価値は相対化されるようになり

基準点を引き下げていく

経過を市場経済システムが

しきりに急がせている


コストカットが至上命題となり

あらゆるものの価値を

総体的に

最も低い価値が

決定づける


企業はコストダウンを市場から迫られ

生産基地として

より相応しい

潜在市場へと関心を向けかえる


50年代では

戦後復興期と重なった日本が

低廉な労働力の提供地となることによって

労働賃金の低さを武器に

精密な加工技術を生かすことにより

対米貿易で経済を賦活させるようになり

60年代に於ける高度経済成長期

へと国内景気を強く導き

国民所得を倍増させていきながら

ドルに対して低廉

な価値を保っていた円のもつ競争力で

国際経済の底上げ

に大きく寄与した

という経済史に残る

特筆すべき貢献を

マクロ経済へと刻み付けていた


原材料と生産設備等の供給を受け

安い労賃で生産コストを引き下げ

資本蓄積を先導するその役割を

日本のモノづくりの原点

となった家内手工業が果たしていた


アメリカからの資本財と生産財の提供

を前提とする

委託加工貿易



日本を

世界の生産基地

へと当時押し上げることとなった


そのプロセスは

現在

中国が果たしているのと

本質に於いて

異ならない


70年代に入ると

電気製品の組み立て

を地理的に近い外国である

韓国へと移す試みが実施され

海外工場での加工品が

日本と遜色のない生産レベルであったことから

陳腐化した生産財を韓国へと輸出し

日本より大幅に安い労働賃金で

段階的に

中間財を経て

最終製品の生産までを

海外市場で行わせる

という製造業の基本構造が

その時代に作られた


日本から海外生産へとシフトすることを

「逆」委託加工貿易と呼んでいる

アメリカの企業が

日本の安い労働力を使って

生産したものを

世界市場で販売することが

委託加工貿易であったのだから

その日本から

もっと低廉な労働賃金の国へ

生産工程を移すことは

日本からみれば

逆の委託加工貿易

という形となるからだ


それと同じことが

ほどなくして台湾でも起き

それが東南アジアへと伝播して

アジアNIES(新興工業国)を経て

ASEANを形成する新興市場を生み出した


中国がもつ市場の潜在性に世界が気づいたのは

80年代に入ってからのこと

それまで農業国に過ぎなかった中国を

世界の生産基地へと育て上げたのは

当初ドル資本と呼ばれていた

現在の国際金融資本たち


ドルは既に基軸通貨となっており

地下資源の決済通貨

として指定されるものとなっていた

石油が欲しければ

ドルを買って決済しなければならない

という条件がドルの需要を一際高めた


経済成長を期すためには

エネルギー需要が

滞りなく

満たされていなければならない

石油ショックを

二度引き起こした70年代

には

先進諸国が

主なエネルギー消費国

を構成していた


第一石油ショックの二年前

には

金本位制からアメリカが一方的に離脱した

ドルショック

へと踏み切っていたアメリカが

為替市場を変動相場制へとシフトさせ

それまで通貨安を享受してきた国の通貨は

短期間で大幅に切り上げられた


アメリカがドルの供給を怠れば

ドル安効果はたちまち消えてしまう

そこで需要に応じて

ドルの供給が間断なく行われ

国際経済は

ドルの需要水準を

安定化させておきたいアメリカと

経済成長を急ぎたい石油消費国との間で

ドルの需給を巡って

活発な駆け引きが行われ

ドルの世界市場に対する供給量は

増加の一途

を辿る展開を繰り広げるようになっていき

需要増が齎すドル高

に耐えかねたアメリカが

プラザ合意を急遽成立させて

G5の間で協調介入が一斉に実施された


ドル安政策を随時実施できる

便利な市場形成を図った米政府が

為替相場を金融資本に統御させることで

通貨交換を容易にする

現在の為替制度の枠組みが形成された


通貨政策はドルの供給元

である金融資本に

通貨交換の往復で莫大な利益を与え

ドル余り現象を世界各地へと生み落とした

過剰流動性の制御を兼ねた

資本の圧力で

世界市場をアメリカが制御できるよう

ドルの供給者である配下の金融資本

に働きかけて

強いドルと弱いドルとを

同時に使い分ける政策が

過剰流動性をより濃密なものにした


ドルの需要に対して

供給不足を演出すれば

それはドル高となる

需要以上にドルの供給量を増やせば

外貨の価値が上昇し

ドルの価値は相対化され

低くなる

調達した外貨を当該市場で運用すれば

投資効果が得られるだけでなく

過剰流動性を希釈する効果も得られる

円高はドル安政策の延長線上の出来事であり

それが日本にバブル経済を連れてきた

土地に対する投機が盛んに行われ

不動産に対する需要を俄かに高めたことで

金融資本はバブル経済の恩恵を

労せずして手に入れただけでなく

獲得した利益を

価値をひらすら高めつづけていた円で

反対に価値を意図的に貶めていた

ドルを買い戻す工程で

莫大な為替差益さえ手に入れていた


ドル安政策で円高を誘導し

投下した過剰流動性を消しながら

不動産バブルで大いに儲け

その利益を投資家へ増やして還元するために

高値誘導しておいた円を小刻みに売ることで

価値の下がっていたドルを

効率よく手に入れることを通じて

莫大な利益を市場から吸い上げる機関

へと変貌を遂げていた


その後

中国市場へと

世界中から資本が

余っているドルで

集中していくようになったことから

中国大陸では

人民元の需要が急速に高まっていき

ドル安元高が昂進し易い状況

が生み出されるようになっていた


そこで中国共産党政権は

元高圧力を回避する目的で

大量の人民元を供給して

ドルとの交換を円滑に行うようになり

その通貨交換の過程で

大量に手に入れた

基軸通貨のドルを活用し

人民元を追加発行するための根拠

としたばかりか

ドル建ての債権を大量に有する

世界最大の投資国

へとかつての鄙びた農業国

に過ぎなかった中国を

経済の枢軸国へと

瞬く間に押し上げた


国際金融資本が過剰流動性を希釈する目的で

中国を世界の生産基地

へと押し上げてきたということが

中国政府に大量のドル資産を与えることとなったのであり

海洋にまで気が回らなかったその頃の中国に

海軍力を増強させる経過を許す

莫大な資産を与える

想定外の効果さえ引き出させてしまったのだった

一連の経過はアメリカの都合と

グローバル経済を目指すドル経済圏

そして

農業国から脱して

先進工業国となることを目指す中国との間で

独善の結果として

引き起こしてきた相互間の変化

に過ぎない


70年代以降

一連の経過から学んできた金融資本が

対中投資を圧縮するよう反転し

既にバブル化していた中国経済は

二桁成長から

一桁成長へと市場拡大の規模を

大きく鈍化させるようになっている


グローバル経済というものは

コストダウンを目指して

いつの時代でも

世界各地をサスラう


BRICSの一角を占めていた中国が

AIIBを設立して

人民元に特殊な価値を付与することで

ドルの後を襲う通貨として

人民元を押し上げようと

あからさまに謀っている

だが

ドルの通貨価値が

人民元の価値の担保

となっている以上

ドルの通貨戦略が躓けば

人民元の価値も連動して落下する

ことになるのを

共産党政府はまだ

自覚していない


グローバル市場は

いつかどこかで

飽和する

その時

有効な対応を成し遂げた国がでてくれば

格差を増大させない

過去にない枠組みによる資本移動と

市場の育成を成長手段とする

持続可能な経済成長とが

安定した繁栄の礎となる

その状態の実現こそが

恒久平和を常態化して

環境負荷を低減させる

最も望ましい結果を引き出す

基礎となる


そこへと至るまでの間

国際経済はもう暫く

紆余曲折する道を

敢えて歩みつづけていなければならない

経験から正しく学ぶ

ことの重要性を

再発見するために
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